Miscellanea
「哲学とは何ですか?」と問われた時、厳密、正確に、教科書的な答えを返すこともできるでしょうが、現実の哲学的な営みを眺め渡した後で、教訓を引き出すように、若干冷笑的とも思える回答を提出することも可能でしょう。例えばそんないくぶん「引いた」回…
1週間ほど前に、Euclid の『原論』にかかわるある短い雑文を書きました。そして3〜4日前のお昼に、学食で熱々のたまごかけうどんをすすりながら、ある PR 誌の中の次の文を読んでいました。 斎藤憲 「エウクレイデスの ''Wrong Text''」、『UP』、東京大学出…
今日は consequentia mirabilis と reductio ad absurdum (背理法/帰謬法) の関係について記します。一般に両者には対応関係があるとされていますが*1、ある先生のお話によると、前者は後者の基礎、基本、根拠のようなものになっているとのことです。ただ、…
Does a Doggy Also Perform an Inference?: Chrysippus's Dog, or the Dog Using a Disjunctive Syllogism.
わんこも、ものを考えるのでしょうか。古代ギリシア世界において、わんこだってものを考えていることが立証されているようです。と言うのは少々言いすぎですが、わんこも結構考えているのじゃないか、と主張する人びとが古代ギリシアにいたようです。その主…
2015年8月2日の当日記、項目名 'Why Heidegger Has Never Admitted his Political Commitment to be Wrong.' の末尾で、私は次のように述べました。「Arendt は Heidegger が Nazism に commit したことを、どのように考えていたのだろう? Eichmann に対す…
以下では Heidegger の哲学について、話をします。ただし、私は Heidegger の専門家ではございません。勉強もしていません。したがって、誤解に満ちた話をしているかもしれません。そのようでしたらすみません。読まれる場合は、どうか割り引きながらお読み…
Heidegger の哲学には本質的に Nazism が含まれていることを、本人は認めていました*1。ならば、その哲学のどこが危険なのでしょうか? Nazi の党員であったというような外在的な側面についてではなく、その哲学の内部にいかなる危険が潜んでいるのでしょう…
今日、次のような英訳本が出ることを知りました。 Peter Trawny Freedom to Fail: Heidegger's Anarchy, Polity, Due in June, 2015*1 私は Heidegger の専門家ではありませんが、この本はとても興味深く、ぜひ購入したいなと思って、出版社の home page で…
先日、次の本を購入しました。 E. フッサール、M. ハイデッガー、M. ホルクハイマー 『30年代の危機と哲学』、清水多吉、手川誠士郎訳、平凡社ライブラリー 299, 平凡社、1999年 (初出1976年) ここには Heidegger の文章として、以下の話が載っています。 M.…
先日は数学的帰納法のごくごく初歩的なことに関しまして、memo を記しましたが、数学的帰納法を巡る哲学的問題として、従来よく知られたものとして何があっただろうかと思い返してみますと、おそらく一番有名なものの一つに、論理主義者たちの考える数学的帰…
本日は、数学的帰納法の初歩的な事柄に関し、memo のようなものを記します。私たちは高校生になって、初めて数学的帰納法を学びます。そのとき、人によっては、この帰納法がよくわからないと感じることがあるだろうと思います。その場合、どのような点がわか…
「モナドには窓がない。」 これはよく知られたセリフだろうと思います。私も知っておりましたが、「モナドには窓がない、うむ、そうらしいですね」と思うだけで、なぜそうなのか、考えてみたこともなかったのですが、先日洗面台の前で、手を洗おうとしていた…
本日は、特に記すことはありませんが、購入したばかりの次の本を見ていると、 今井邦彦 『言語理論としての語用論 入門から総論まで』、開拓社 言語・文化選書 50, 開拓社、2015年、 この本の中にいくつもの小話が「コラム」という題名のもとに、今井先生に…
先日、本屋さんで次の本を手に取り、中を見てみました。 金関猛 『ウィーン大学生フロイト 精神分析の始点』、中公叢書、中央公論新社、2015年 私は Freud には特に興味があるわけではないのですが、分析哲学を勉強しているため、 Vienna Circle にはちょっ…
以下は、jazz の私的な話です。落ちなどは何もありません。 3月12日木曜日、学食でお昼ご飯をとる。その際、Walkman で Art Pepper の Modern Art を聴きながら食事をする。お昼の、しかもごはんの最中に、Modern Art を聴くべきなのかについては、異論もあ…
W. V. Quine さんが様相論理に否定的であったことはよく知られていると思います。先日たまたま目の前の手の届くところに次の本があり、 大出晁 『パラドックスへの挑戦 ゲーデルとボーア』、岩波書店、1991年、 以前にところどころ拾い読みしていたのですが…
前回の日記では、この PR 誌から 『みすず』、読者アンケート特集、2015年、1, 2月合併号、第57巻、第1号、通巻634号、みすず書房 三島憲一先生による読書アンケートの回答を引用させていただきました。2014年に先生がお読みになられた文献で、重要と感じら…
先日、次の PR 誌を購入し、拝読致しました。 『みすず』、読者アンケート特集、2015年、1, 2月合併号、第57巻、第1号、通巻634号、みすず書房 この中で、三島憲一先生による読書アンケートの回答が大変興味深いものでしたので、その一部をここに引用させて…
つい先日まで、Plato の著作に関し、私の知らなかったちょっとしたことを一つ、記します。なお、私は Plato はもとより古代ギリシア哲学全般に疎いので、この後の話は割り引きながらお読みください。間違っていることを書いておりましたらすみません。 西欧…
先日来、次の本を拝読しているのですが、 石田由香里、西村幹子 『の見つけ方 全盲女子大生が手に入れた大切なもの』、岩波ジュニア新書 791, 岩波書店、2014年 胸の熱くなるような言葉がいくつかありましたので、紹介したいと思います。今回はその二回目で…
先日、次の本を購入させていただきました。 石田由香里、西村幹子 『の見つけ方 全盲女子大生が手に入れた大切なもの』、岩波ジュニア新書 791, 岩波書店、2014年 読んでいて胸が熱くなる本でした。全部読んでしまうのがもったいないので、ゆっくり少しずつ…
昨年、 Terence Parsons Articulating Medieval Logic, Oxford University Press, 2014 を拾い読みし、そこで Parsons 先生が中世の論理学で、異なる量化子を複数含んだ多重量化文を扱うことができると主張されているのを見て、私は大変驚きました。そのよう…
最近、次の本を読んでいます。 細見和之 『フランクフルト学派 ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ』、中公新書 2288, 中央公論新社、2014年。 私は Frankfurt 学派に無知ですから、この本は大変勉強になります。読んでいてとても興味深く…
先日、次の本を購入しました。 María Manzano, Ildikó Sain, and Enrique Alonso eds. The Life and Work of Leon Henkin: Essays on His Contributions, Birkhäuser/Springer, Studies in Universal Logic Series, 2014. 本を受け取った後、広場のベンチに…
つい先日、次の論考を拝読させていただきました。 徳永恂 「アーレント「悪の陳腐さ」をめぐって」、『図書』、岩波書店、2014年12月、第790号。 ここでは従来の大部分の方々と同様、Eichmann は命令に従っていただけの小役人として描かれています。 ただし…
先日、次のような本が刊行されました。 秋富克哉、安部浩、古荘真敬、森一郎編 『ハイデガー読本』、法政大学出版局、2014年。 それでこの本の中に収められている次の論考を店頭で拝読させてもらいました。 ペーター・トラヴニー 「特別寄稿 ハイデガーと「…
「なるほど、そうなんだ、知らなかったな」と思ったことを記します。そんなに大そうなことではございません。 先日、刊行されたばかりの次の書籍を書店店頭で拝見していたところ、 伊藤貴雄 『ショーペンハウアー 兵役拒否の哲学 戦争・法・国家』、晃洋書房…
本の一部を読んだ感想を記します。下記の本に出てくる橋爪大三郎先生のご発言に対する批判的な感想です。詳細な批判を展開するというものではなく、簡単な感想を述べるだけのものです。その感想は個人的な印象を述べたものであり、問題の本の主題となってい…
先日、戦争責任について考えていた。そこでちょっと面白いことを思いついたので、記してみます。既に誰かが考えていることかもしれませんが、「無責任のパラドクス」というものを思いつきました。とはいえ、本物のパラドクスではございません。ただの詭弁で…
玉音放送を巡って、私には意外だったこと、私のまったく知らなかったことを、記します。なお、私は歴史家ではありません。また、先の戦争を経験している者でもございません。そのため以下の記述には間違いが含まれている可能性があります。もしも読まれる場…