Miscellanea

 Recently I Went to a Shinto Shrine and a Cemetery.

最近、次の本を拾い読みし、 丸山眞男手帖の会編 『丸山眞男話文集 続2』、みすず書房、2014年、 とりわけ、410ページ以下の『昭和天皇独白録』をめぐる丸山さんの発言を読む。また、以前にも拾い読みしていた次の本をあちこち読み直す。 井上清 『天皇の戦…

 What Is the Yablo Paradox?: An Informal Exposition

数日前に the Yablo Paradox の本を購入しましたが、いい機会だし、手持ち無沙汰なので、the Yablo Paradox を説明してみます*1。まず、次の原典から、 Stephen Yablo ''Paradox without Self-Reference,'' in: Analysis, vol. 53, no. 4, 1993. As to a dra…

 Why Was Heidegger Keeping his Anti-Semitic Opinions Quiet? Why Didn't He Apologize for his Discriminatory Ideas? Why Did He Kindly Teach his Philosophy to Jewish Students?

2014年6月8日の当日記で、次のような名の項目を記しました。 Heidegger's 'Black Notebooks' and the Protocols of the Elders of Zion この春に刊行されたドイツ語の Heidegger 全集の巻に、Heidegger の反ユダヤ主義をはっきり疑わせる記述が見られるらし…

 On Philosophy as Conceptual Engineering

先日、net で次の文を拝見させていただきました。 戸田山和久 「ミニマリスト概念工学としての哲学」、『ちくま』、筑摩書房、第517号、2014年4月号、http://www.chikumashobo.co.jp/blog/pr_chikuma/entry/984/. この文は、戸田山先生の以下のご高著を紹介…

 The Proof That We Are Now in a Paradise on Earth

先日、本屋さんの店頭で、刊行されたばかりの次の本を拝見させていただく機会がありました。 朝倉友海 『「東アジアに哲学はない」のか 京都学派と新儒家』、岩波現代全書、岩波書店、2014年。 そのなかの「はじめに ― 「東アジアに哲学なし」」の部分を軽く…

 Heidegger's 'Black Notebooks' and the Protocols of the Elders of Zion

From the Italian news journal La Stampa, March 18, 2014. まず最初に、以下の記述に誤解や無理解などがございましたら申し訳ございません。謝ります。専門家ではないので間違いを記しているかもしれません。そのようでしたら訂正致します。どうかお許しい…

 A Digression from the Actual World to Possible Worlds

個人的な覚え書きを記します。 ついこのあいだ、以下の本を購入しました。 Ivan Boh Epistemic Logic in the Later Middle Ages, Routledge, Topics in Medieval Philosophy Series, 1993/2014. この本の入っている series, Topics in Medieval Philosophy …

 Spinoza Would Have Felt a Longing for Something Lost.

前回の日記は話が長かったので、今回は短くしめます。いつものように些細なことを一つ。 先日、本屋さんで次の新刊を手に取ってみました。 スピノザ 『神学・政治論 (上)』、吉田量彦訳、光文社古典新訳文庫、光文社、2014年 スピノザ 『神学・政治論 (下…

 On an Example Which Shows the Crucial Difference Between ∀-∃ Formula and ∃-∀ Formula

(本日の日記の文章は、ちょっと長いです。時間のない方は、読まないほうがよいかもしれません。) かつての伝統的論理学と現代の論理学を分かつのは、前者では多重量化文、とりわけ all と some という異なる量化子を複数含んだ異種混合多重量化文 (mixed mul…

 Adam Smith was Kidnapped in his Childhood.

哲学と全然関係ないのですが、先日初めて知って、軽く驚いた瑣事を一つ記します。数日前まで私はまったく知らなかったのですが、あの Adam Smith さんは子供の頃、誘拐にあっていたようです。これはちょっとびっくりした。「えっ! ほんと? またどうしたの…

 Professor Terence Parsons Argues That 'Every Head of a Man is a Head of an Animal' CAN be Proved from 'Every Man is an Animal' in Traditional Syllogism.

(注意書き 2015年1月18日: 以下を読まれる場合は、当日記の次の文も必ずお読みください。2015年1月18日、項目 'Professor Terence Parsons' Interpretation of Medieval Logic is not so Faithful to the Original Systems as We Expect.' 繰り返しますが、…

 How Did Professor Masao Maruyama Write his Famous Papers?

先日、以下の書籍を購入した。 丸山眞男 『丸山眞男話文集 続 1』、丸山眞男手帖の会編、みすず書房、2014年。 中を見てみると、例によって滅法面白い。特に次の二つが面白く、あちこちを拾い読みする。 「生きてきた道 『戦中と戦後の間』の予備的な試み」…

 However Vast the Universe is, the Size of it Does Not Logically Entail Insignificance of Our Life.

発売されたばかりの次の本を店頭で眺めていると、 戸田山和久 『哲学入門』、ちくま新書、筑摩書房、2014年、 その終章で人生の意味について語られている。科学的な世界観の中に、私たちの人生の意味をどのように位置付ければよいのかが述べられている。その…

 The Intellectual History of Charles Parsons

先日、 Charles Parsons Philosophy of Mathematics in the Twentieth Century: Selected Essays, Harvard University Press, 2014, という本を購入した。そこで何となく Charles Parsons 先生の経歴を少しだけ振り返ってみようと思い、次の文献をひも解いた…

 The Greatest Mathematician Henri Poincaré Once Got a Zero on the Math Exam.

やはり由無し事を一つ記します。 購入したばかりの以下の図書を Jean-Marc Ginoux and Christian Gerini Henri Poincaré: A Biography Through the Daily Papers, translated by Selma Naëck, World Scientific Publishing, 2013 ぱらぱらとめくっていると、…

 How Were Buddhist Scriptures Translated into Classical Chinese? Part II: Was Each of Buddhist Scriptures Translated by One Translator Alone?

今回は、次の本を読んで意外に感じたことを記す第二回目。 船山徹 『仏典はどう漢訳されたのか スートラが経典になるとき』、岩波書店、2013年。 前回は仏典漢訳のスピードが、私たちが思うよりも圧倒的に速く、数年をかけてじっくり訳されるものなのではな…

 How Were Buddhist Scriptures Translated into Classical Chinese? Part I: How Long Did It Take to Translate its Scripture into Chinese?

私は哲学を学んでいます。中でも欧米の哲学、特に分析哲学を学んでいます。そのため、哲学史も学びます。古代ギリシアで始まった哲学が中世のヨーロッパへと伝えられ、アメリカに渡り、日本にもやってきました。その間、様々な文献が色々な言語に翻訳され、…

 Current Philosophical Terrains

PhilPapers という home page があります。とても有名なもので、哲学の文献を探したり、情報交換をするのに利用されているようです。私自身は普段あまり利用はしません。利用することもありますが、一人でのんびり自力でやっておりますので、あまり利用する…

 Has the Phrase 'immer schon' Always Already Meant Always Already?

(以下の文章は、一ヶ月ほど前の9月末頃に書いたものです。) 先日入手し、拝読した次の文献の最後に、ちょっと勉強になることが書いてあったので、記してみます。 三島憲一 「書評 『ハンス=ゲオルグ・ガーダマーの政治哲学 解釈学的政治理論の地平』 (加藤…

 Did Søren Kierkegaard One-Sidedly Break off his Engagement to Fiancée Regine Olsen? No! The Truth was Just the Contrary.

私は分析系の方面に興味があるので、Kierkegaard についてはよく知りません。しかし、Kierkegaard は哲学史の本にいつも載っている有名な人物であり、彼について、私もわずかばかりの哲学史的知識は何とか持ち合わせていると思います。まぁ、たぶんですけれ…

 Neurath in Exile

先日、次の文献を入手した。 小林純 「ヴィーンのオットー・ノイラート 一九二〇年代の実践活動」、『ドイツ経済思想史論集 I』、唯学書房、2012年 (初出1998年). ところどころ読んでいると、ちょっと面白い記述があったので引用します。別に哲学的な話では…

 Arendt and Eichmann Fifty Years Later: Was Evil Banal?

先日、PR誌の 『みすず』、みすず書房、no. 618, 2013年8月号 『みすず』、みすず書房、no. 619, 2013年9月号 を購入した。これらにはそれぞれ次の論考が収められていた*1。 野口雅弘 「フォン・トロッタの映画『ハンナ・アーレント』」、『みすず』、みすず…

 Heidegger After the Night of the Long Knives

先日、次の文献を拝見させていただいた。 ラインハルト・メーリング 「1933年9月ベルリンのマルティン・ハイデガーとカール・シュミット 新たな資料状況から」、権左武志訳解題、『思想』、岩波書店、2013年第9号、no. 1073. 大変興味深いものでした。印象に…

 Who Is the Fastest and Bravest Philosopher in the World?

世界で最も速くて、なおかつ最も勇敢な哲学者は、たぶん Bocheński さんです。 先日、普段の勉強の合間に、次の短い文献を拝読しました。 Peter Simons ''A Most Remarkable Polish Philosopher'' Józef Maria Bocheński さんの思い出、逸話を伝える文章です…

 Don't Judge a Philosophy Book by its Evil Cover. Is That Right?

先日、以下の論考を拝読致しました。 パウル・ティリヒ 「ハイデガーとヤスパース 上」、深井智朗、河野克也訳、『みすず』、みすず書房、no. 618, 2013年8月号。(Paul Tillich, ''Heidegger and Jaspers,'' in: Cooper Union Forum, March 23, 1954.) これ…

 Ruthie in the Sky with Boxes and Diamonds

時機を逸した話をします。例によって哲学的な話ではありません。 先日初めて知ったのですが、Ruth Barcan Marcus 先生がしばらく前にお亡くなりになられていたようです。私はまったく知りませんでした。2012年2月のことのようです。もう一年以上になります。…

 The Extremely Short History of Plural Logic

入手したばかりの Alex Oliver and Timothy Smiley Plural Logic, Oxford University Press, 2013 に関連して、少し取り留めのないことを書いてみます。これから書く文章は、 飯田隆 「複数論理と日本語意味論」、西日本哲学会編、『哲学の挑戦』、春風社、2…

 Do You Need the Foundations of Mathematics?

先日入手した次の文献について、 岡本賢吾 「論理学/数学の哲学における概念分析は、形而上学の動態化にどう寄与しうるか 〈遷移構造の意味理論〉の現況と今後を瞥見する」、2011年度哲学若手研究者フォーラム講演要旨、『哲学の探求』、哲学若手研究者フォ…

 The Final Years of Kurt Grelling

先日、次の本を購入し、 Nikolay Milkov and Volker Peckhaus eds., The Berlin Group and the Philosophy of Logical Empiricism, Springer, Boston Studies in the Philosophy and History of Science, vol. 273, 2013, 何となく中を見ていると、Kurt Grel…

 Heartless Davidson and Romantic Davidson

前回に続いて、最近購入した Maria Baghramian ed. Donald Davidson: Life and Words, Routledge, 2012 から、そこに収録されている Davidson さんに関する面白い思い出話をご紹介致します。今回は Marcia Cavell のお話です。Cavell さんは Davidson さんの…