1週間ほど前に、次の本が出版されました。 ・ ライプニッツ 『モナドロジー 他二篇』、谷川多佳子、岡部英男訳、岩波文庫、岩波書店、2019年。 さっそく購入させていただきました。 モナドロジーと言えば、「モナドには窓がない」ですね。このようなセリフが…
先日、次の PR 誌を購入し、拝見させていただきました。 ・ 『みすず』、読者アンケート特集、みすず書房、no. 678, 2019年1・2月合併号。 これは、様々な分野の先生方が、2018年に読んだ書物のうち、特に興味を持った本を上げて、その評を記しているもので…
目次 1. 推論規則 Modus Ponens 2. 推論規則 Ex Falso Quodlibet/Ex Contradictione Quodlibet (EFQ/ECQ) 3. EFQ/ECQ の形式的証明 4. 問題: Frege は EFQ/ECQ を認めたか? 5. Frege の証言 6. Frege は EFQ/ECQ を認めなかったであろう。 7. まとめ ささい…
こんにちは。 今まで、はてなダイアリーで日記を書いてきました。しかし、はてなダイアリーが間もなく機能を停止するそうです。そのため、はてなダイアリーで書いてきた分をすべてこちらのブログに移しました。本日2019年1月8日の日記までは、はてなダイアリ…
お知らせ 追加前回、この日記を「はてな blog へ引っ越しさせる」とお伝えしました。引っ越し先が一応決まりましたので、告知しておきます。URL は https://nuhsnuh.hatenablog.jp/ です。ただし、この URL を訪れていただいても、引っ越しはまだ始まってい…
お知らせ お知らせがあります。この日記は、はてなダイアリーを利用して書いていますが、そのはてなダイアリーが2019年1月28日に大部分の機能を停止し、2019年春に、はてなブログに移行するそうです。そこでこの日記を自力で2019年1月28日までに、はてなブロ…
0. はじめに 1. Descartes の永遠真理創造説とは何か?: 入門書からの引用 2. Descartes の永遠真理創造説とは何か?: 本人の文の (和訳からの) 引用 3. Kripke 先生、Descartes を駁す。 4. Kripke 先生による Descartes 駁論再構成に必要とされる制約につ…
ニュースを一つ。そしてそれに関して、私見を思い付くままに記してみます*1。哲学、論理学の Lvov-Warsaw School に関心をお持ちの日本人は、その数が極めて少ないと思われますが、この学派の哲学について、興味深い文献が本日刊行されました。それは、以下…
前回は、全称例化という推論規則*1が、それを知らない、わからない、身に付けていない人に、ただ示して教えるだけでは、わかってもらえない、その規則を採用してもらえないということを、飯田先生、Padro 先生の文献から学びました。今回は、やはりお二人の…
今日は推論規則について、一つ確認してみます。後日、もう一つ、推論規則について確認してみる予定です。ただし、予定しているだけで、その予定が実行できるかどうかは、今の段階では未定です。とりあえず、本日確認してみたいことを記してみます。 ごく基本…
本屋さんで、出たばかりの 『数学セミナー』、2018年8月号、 を手に取り、中を見てみると、 田野村忠温 「ダッシュ、プライム」、 という記事を見かける。ちょっと興味を覚えました。拝見させていただくと、「えっ、それは知らなかったな」というようなこと…
うちには小犬の nuhsnuh くんと、そしてたぶん犬だと思うのですが、小犬の Lisa がいます。先日、この2頭が話をしているのが聞こえました。何とはなしに聞いていると、Lisa が「哲学なんて役に立たない」と言っています。それに対し nuhsnuh くんが「そんな…
本日は、ある証明を載せます。あるいは、証明なるものを載せます。以下の話については、半ば真剣に取っていただき、半ば真剣には取らないでください。なお、本日の日記も original な主張は何もございません。それではさっそく本論に入ります。 不可知論は正…
本日は、Frege の基本法則 V が Cantor's Theorem と矛盾することの証明を与えます。Cantor's Theorem の証明は、しばしば全射の写像を使い矛盾を導くことでなされますが、基本法則 V が Cantor's Theorem と矛盾することの証明には、単射の写像を使い矛盾を…
2017年は散々な年でした。非常にきつい一年でした。これほどきついのは、私の人生ではほとんどなかったと思います。それぐらい stressful な一年でした。この状態はまだ続いています。今後もしばらく続きそうです。また、最近祖母が亡くなり、非常に残念です…
別々の paradox に見える the Liar paradox, Curry's paradox, Russell's paradox が、もしもすべて同じ paradox だとしたら、どのように思われますか? それらが同じ種類のものだとしたらどうでしょう? 同じ matrix, format から発現しているものだとした…
本日の日記の続きです。 補足項目 (1)*1 この補足項目 (1) で述べようとすることを、あらかじめ手短に記しておきます。 「Curry's Paradox により、不合理に陥る原因は、そこで自分自身に言及している表現を使用しているからだ。だから、そのような表現の使…
Curry's Paradox の informal な論証を理解しようとすると、そこでは自分自身を指す表現が出てくるので、頭がこんがらがることがあります。そこであまり頭がこんがらがらない informal な論証を以下に示してみます。たぶんあまりこんがらがらないと思うので…
近頃、寝る前に横になりながら、次の本を読んでいます。 トマス・ペイン 『人間の権利』、西川正身訳、岩波文庫、岩波書店、1971年。 これは結構おもしろいです。この本については、昔『人権論』という題名で邦訳されていたとも思われるのですが、そのような…
最近、まったく日記を更新しておりませんでした。特に記すほどのことがなかったのです。今日も特にないのですが、あまり更新しないのもさびしいので、ほんのちょっとしたことを記します。私は論理学の哲学や Frege の論理学について特に勉強しているのですが…
既にご存じのかたもおられるかもしれませんが、つい先日まで、私自身気がつかなかった出版物に関する情報をここに記します。このあいだ、Otto Neurath の執筆した本の一つが日本語に翻訳され刊行されました。以下がそうです。 オットー・ノイラート 『ISOTYP…
前回に続き、Leśniewski's Ontology の key term 'ε' を理解するのに有用な文章の列挙、part 2. 今回で完結です。 Czeslaw Lejewski ''On Leśniewski's Ontology,'' in: Ratio, vol. 1, no. 2, 1958, reprinted in Jan T. J. Srzednicki, et al. eds., Leśni…
Leśniewski の logic について興味を持っておられるかたは、ほとんど絶無と想像されます。しかし、はやっていてもいなくても、人気があってもなかっても、それでも一応今日も Leśniewski のお話です。Leśniewski の logic はすごいのかどうか、私にはよくわ…
私は、なぜ Frege が Russell Paradox に足をすくわれたのか、その原因究明に関心があります。Frege は自身の論理体系が Russell Paradox に遭遇するとわかった後、すぐにその体系に修正を施しました。これにより、この修正された体系からは、さしあたり、矛…
時機を失していますが、昨年2016年に読んだ哲学、論理学関係の文献で、私の印象に最も残った文献の名前を以下に記します。一番印象に残ったのは次の短い論文でした。 Peter Schroeder-Heister ''Paradoxes and Structural Rules,'' in Catarina Dutilh Novae…
Quine にとって、存在するとは、束縛変項の値であることであり (To be is to be the value of a variable)、変項の値となっていることが在ることとされていますが、ではなぜ変項の値となっていることが存在に関与する (existentially committing) ことになる…
前回の日記では、なぜ Quine は存在量化子を存在に関与するものと見なしていたのか、という疑問について、その答えと思われるものを若干記しました。彼によると存在量化子がなぜ存在に関与しているのかと言うと、論理学の存在量化子が、存在に関して語ってい…
意外に思ったことで、なおかつ私には残念に思ってしまったことを記します。先日、次の本 Graham Priest Towards Non-Being, Second Edition, Oxford University Press, 2016 を拾い読みしていましたら、Priest 先生がこの本の Chapter 18: How the Particula…
ちょっと意外に思ったことを一つ記します。分析哲学を学んだかたなら、次の論文 W. V. Quine ''On What There Is,'' in his From a Logical Point of View, 2nd ed. Revised., Harvard University Press, 1980, this paper was first published in 1948, 邦…
先日、次の本を購入し、 星川啓慈 『宗教哲学論考 ウィトゲンシュタイン・脳科学・シュッツ』、明石書店、2017年 その第1章、「ノルウェーにあるウィトゲンシュタインの「小屋」の跡に立って」を読みました。そこでちょっと感じたことを記します。 星川先生…