昨日のKit Fine本はやはり購入しました。しかもAmazonで買うよりも安く、さらに汚れやよれもまったくない非常によい状態のものです。またちらほら拾い読みすることにしよう。


昨日キノクニヤで英語参考書の棚を見ていたらずいぶん前に見た以下の書が今も販売されているのを眼にとめ、手に取ってみた。

版元HPの解説はこう。

『英文解釈教室』をはじめ、数々のベストセラー英語参考書を執筆した伊藤和夫先生の英語教授法・英語教育論を集大成した。
英語教授法において混沌状態にあった予備校にひとり乗り込み、ゼロから受験英語を確立した季題[ママ]の天才・伊藤和夫。文法や英文和訳法など、その独自のメソッドの根幹にある思想をあますことなく論じ、文法不用論に流れる英語教育の未来に対し、警鐘を鳴らす。

私自身伊藤先生の初代『英文解釈教室』に大変お世話になりました。すばらしい本だったと思います。rigidな説明が大好きでした。いまだに、引越しを重ねながらも、この参考書だけは他の受験参考書とは違い、手元に持っています。

この『予備校の英語』の最後に伊藤先生のプロフィールが記されていますが、それを記した方の名前として「入不二基義」というお名前が上がっていました。これを見た時、「あの哲学やってる入不二さん?!」と驚き、ほんとかどうか半信半疑になりました。それで今日、疲れていて勉強もできないので昨日の疑念を晴らすべく、入不二さんのHPを見てみますとやはりあの時間論の入不二さんがお書きになっていることが判明しました。知りませんでした。入不二さんは予備校で教えていらっしゃったのですね。英語の参考書までお書きになられています。まったく知りませんでした。で、そのHPから以下の文章も入手。

  • 入不二基義 「二つの頂点 −『英文解釈教室』と『ビジュアル英文解釈』−」

これは伊藤先生がお亡くなりになられた後、追悼の意味を込めて書かれたもののようですが、とてもよい感じのする文章・話です。伊藤先生は『英文解釈教室』に愛着は持ちつつも、批判的であったそうですが、その理由の一つとして、この参考書は、いわば智に働きすぎているとお考えだったようです。つまり理屈っぽすぎる、systematicすぎるとお感じのようでした。しかし私はそこが大好きだったのです。理路整然と理屈でもって論理的に、体系的に説明されるところにしびれました。その後、この『英文解釈教室』をやさしくし、理屈よりも自然な流れを重視した参考書をお書きになられましたが、私はこの理屈っぽい『英文解釈教室』しか好きになれませんでした。
その人の創作活動の初期に生み出された作品は、たとえ後々振り返った時に未熟さをその当人が感じるものであったとしても、圧倒的な輝きを放っていることがあります。圧倒的な勢いとpowerを感じさせてくれることがあります。私はChet Bakerのことを思っているのですが、伊藤先生のこの本も、執筆活動初期の圧倒的な光に包まれた作品だと思います。