書店で以下のちょっと前の復刊書1冊と、本日発売の復刊書2冊を購入。

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一九四五年五月,ナチス・ドイツが無条件降伏した直後におこなわれたトーマス・マン(一八七五‐一九五五)の講演「ドイツとドイツ人」は,ドイツの精神的伝統の特質を見事に描き出したもので,数多いマンの思想的政治的発言の中でも特に優れたものといわれる.「理性に訴える」「ゲーテと民主主義」等を併収.ドイツを考えるための必読の書.

ドイツの何たるかを知りたく思い購入。さっそくSeattle's Best Coffee にて「ドイツとドイツ人」を読む。非常に面白い。とても啓発的。読みつつあれこれ考え、あれこれ考えつつ読む。最近何冊もドイツ史の入門書を読んでいるのでドイツの歴史を振り返りながら、あるいはまた日本の歴史とも比較しつつ長い時間をかけて読む。有意義だった。部屋に帰って丸山眞男さんがどこかでトーマス・マンのこの文について述べていたのを思い出し、調べると一つ出てきた。次で言及している。

ここでは丸山さんはトーマス・マンの分析をさすがだとほめています。しかしナチズムの必然的な招来を説明した件は一面的な見方だとして批判しています。そうですか。
またトーマス・マンをある人名事典で調べると、彼はニーチェショーペンハウエル(とヴァーグナー)に影響を受けていると書かれています。キリコ、ウィトゲンシュタインとよく似ていますね。こうなってくると、当時の当地の読書状況はよく知りませんが、ニーチェショーペンハウエルやヴァイニンガーが人気だったのかもしれませんね。ふ〜む。しかし面白い。「ドイツとドイツ人」はまたじっくりと読み返そう。この講演文がドイツ論としていかなる評価を学会から受けているのかは存じませんが、しかしぜひとも読み返そう。

  • ハイネ 『ドイツ古典哲学の本質』 伊東勉訳 岩波文庫

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ハイネは詩人であったばかりでなく,また思想家,革命家であった.本書はその原書名『ドイツの宗教と哲学との歴史のために』が示すとおり,宗教改革からヘーゲルまでのドイツ思想史である.最初はフランス人のために書かれたもので,その叙述は明快で機知に富む.ドイツ古典哲学の革命的本質を説いたものとして有名である.

以前持っていて後ろの方まで読んだけれど、途中でやめて多分売り払ってしまった1冊。手元にない。また読みたくなって購入。ドイツ思想史を知るために買ったつもりだったが、上記のマンの文を読んでいてこのハイネの本は恐らく「ドイツ的なるものとは何か?」を考える上でも参考になるのではないかと思った。そのようにしても読めると思われる。今度このハイネの本を読む時は、ドイツ思想史であると共にドイツ的なるものの自己展開としても一度読んでみることにしよう。

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愛しながらも結婚にふみきれぬ憂鬱質の青年詩人.彼を見守る冷静な一人の心理観察者.『反復』はさながら一篇の恋愛心理小説である.だが,ここには,前に向かって人生を生きよ,とするキルケゴールの厳粛なキリスト教的人生観が織り込まれていて,それが著者自身の不幸な恋愛体験に即して展開されているのである.

図書館でも読めるし古本屋でも見かけたが、だいぶ古く汚かったので今回の復刊を待って入手。愛とは何か、贖罪とは何か、そして神義論に関しても参考になると思い購入。よい意味でも悪い意味でも濃そうな本である。悪い意味でやたら濃さを感じるようならば最後まで読み切れないだろう。しかしここでのテーマは確かにそそられる。読みたい。
それにしてもキルケゴールを読むようになるなんてちょっと自分でも信じられない。かなり前に『死に至る病』を読もうとして1ページかそこらで読むのをやめてしまったことがある。解説を読んでも「随分暗い人で暗い本だ」と思い、読み続ける気が起きなかった。その後キルケゴールからはるか遠く離れてクワインみたいなさばけたdesertな哲学をすごく好きになったりした。しかしまぁ色々と人生を経験して人を愛することについて考えるようになるとキルケゴールも読むに値するかもしれないと思うようになった。生意気な言い方ですが…。だがどこまで読めるか若干不安が残っていますが…。