入手文献: Frege Scholars の文脈原理解釈ほか

  • 高木敏美  「フレーゲの文脈原理」、『立命館文學』、475・476・477号、1985年
  • 木戸正幸  「フレーゲにおける間接話法の問題」、『立命館経済学』、43巻、5号、1994年
  • 同上   「フレーゲをめぐる2つのパラドクスについて −der Begriff Pferdのパラドクスとラッセルのパラドクス−」、『立命館文學』、478・479・480号、1985年 (一部のみ)
  • 飛田就一  「翻訳 Lidwig Wittgenstein: Letters to John Maynard Keynes 1913-1939」、『立命館経済学』、43巻、5号、1994年

そろそろ再びFregeの勉強に戻らなければならないと感じつつ上記の論文を入手。
1本目の註1には、Frege Scholars の文脈原理解釈を、以下のように極々手短にまとめていただいていて、当たりをつけるのに便利そうである。文献名などを省いて引用させていただきます*1

アンゲレリ[Angelleli]は「文脈原理」にほとんど重要性をおかない。ダメット[Dummett]はこの原理を、哲学的に最重要な言明とみなし、実に凝った解釈を提案している。スラガ[Sluga]は、一貫した文脈主義者としてのフレーゲ像を跡付けようとする。他方、ティール[Thiel]、野本[野本和幸]氏は「文脈原理」の適用を、数詞等の抽象的対象の名に制限する。そして、「語の意味」を「真理値ポテンシャル」と、穏便に解釈するのはトゥーゲントハット[Tugenthat]である。またレズニク[Resnik]は、この原理が「如何にして思惟の統一は可能か」という問題を解決するための −ないし、解決できていなかったための暫定的な− テーゼであると推定する。さらにカリー[Currie]によれば、この原理はむしろ認識論上の原理として理解されるべきだとなる。


4本目はWittgensteinのKeynesへの手紙の翻訳である。たまたま見かけたので入手。大修館の訳集にも入っているのかな? 何も知らずにとにかく珍しそうなので入手。 で、少し調べてみると、この書簡集の抄訳ならば邦訳が出ているようである。雑誌『エピステーメー』、2巻、9号、1976年に黒崎宏先生の訳で掲載されているとの情報がある。上記飛田先生の翻訳はKeynes宛書簡の全訳なのだろうか? 少なくともWittgenからの手紙は31通を数える。一部Keynesからの返信も含まれている。


またこの他以下の新刊も購入。

近代的理念と現代社会との葛藤をみすえつつも,理性とリベラル・デモクラシーへの信念を貫き通した丸山眞男.戦前から戦後への時代の変転の中で,彼はどう生き,何を問題化しようとしたのか.丸山につきまとうできあいの像を取り払い,丸山の遺した言葉とじかに対話しながら,その思索と人間にせまる評伝的思想案内.

読まなければならない丸山解説本がこれでまた増えた。うれしいような、まいったような…。またそのうち機が熟すれば読もう。

*1:125ページ。