こころに残る言葉: V. E. Frankl

今日、何気なく次のような言葉を見つけた。うろ覚えだが記してみる。

I got nothing that I asked for, − but everything that I had hoped for.

大体こんな感じだったと思う。アメリカの南軍の無名兵士が、収容されている病院の壁に書き残した言葉の一部。
今の私なら以下のように勝手に訳す。
「何も求めはしなかったけれど、ほらごらん、すべてが私の手のうちにある!」
報いを期待しないところに、あなたの報いがある…。


また次のような文もあった。

運命に揺るがず耐える勇気は、運命より強力である。*1

運命に耐え抜くことは、運命より強い。運命を超えている。


こんな言葉もある。

もし私がそれをしなければ、だれがするだろうか。
しかし、もし私が自分のためにだけそれをするなら、
私は何であろうか。
そして、もし私がいましなければ、いつするのだろうか。*2

これはタルムードを書き始めたある人物のことばだそうである。
まるでレヴィナスさんのことばを思わせるものがある。
特に1行目はレヴィナスさんによる、かけがえのないものとしての主観性の、実感的な説明になっているように感じられる。
困窮している他人を目の前にして、他の誰でもないこの私が、身を挺して助けてやらねばならない責任があるということ、このようなことがかけがえのない、代理不可能な主観性の倫理的な起源であると、レヴィナスさんは言っているのかもしれない。多分ですけど…。

*1:V.フランクル 『それでも人生にイエスと言う』、山田邦男、松田美佳訳、春秋社、1993年、15ページ。

*2:同上、56ページ。