読書: Frege’s Begriffsschrift, its Historical Background in Jena, Part 8

  • Uwe Dathe  “Frege in Jena: Academic Contacts and Intellectual Influences”, in: M. Beaney and E. Reck, ed., Gottlob Frege, Critical Assessments of Leading Philosophers Series, Vol. 1, Frege's Philosophy in Context, Routledge, 2005


Section: The Essays of 1891-2

このセクションで興味深い点を二つ。

    • Fregeは1891年1月にJenaの学会で「関数と概念」に関しレクチャーを行っている。その際の公式記録によると、この時には‘No discussion took place’だったそうである。さもありなん…。
    • Fregeは論文「概念と対象について」において、対象や概念が「飽和している」とか「飽和していない」とかいう表現を使い、それらの表現を比喩として使用しているとし、しかしこれらの比喩は単なる修辞的技巧として使っているのではなく、非常に役立つヒントとして利用しているのだと述べているようである。このような比喩の有用性、あるいは比喩特有の役割分担の認識は、R. Euckenの1880年刊行の著作Uber Bilder und Gleichnisse in der Philosophieにさかのぼり、そこで既に展開されている考えだそうである。Fregeはこの著作を読んでいたのだろうか?