読書

上記入門書をカフェで読む。ふむふむ。


そして次の新刊の後書き解説を流し読む。

  • 岡本賢吾、金子洋之編  『フレーゲ哲学の最新像』、双書現代哲学 5、勁草書房、2007年

大変面白い。勉強になる。すばらしい。


そこを読んでいて感じたことを二つ。
私見では、新フレーゲ主義とは次のように図式化できると思っています。

    • フレーゲ主義(Neo-Fregean Logicism) = Fregean Platonism + Logicism.

Fregean Platonismとは、例の統辞論的優先性テーゼによるPlatonismのことです。
Logicismとは、この場合、実数論まで含む数論を高階の論理学に、いわゆる還元することです。

ところで上記新刊『フレーゲ哲学の最新像』の岡本先生による後書き解説では、ほとんど「Fregean Platonism + Logicism」のうちの後者であるLogicismに話が集中していたように思われます。「Fregean Platonism + Logicism」のうちの前者であるFregean Platonismに触れておられないわけではないけれど、岡本先生のお考えではScotland系のNeo-FregeanたちのFregean Platonismは、素朴で稚拙とのことで、ほとんど解説にスペースを割かれていないようです。先生のご意見ではそうなのかもしれませんが、不勉強な者のためにもいくらかの解説がいただければ、よりうれしかったと思います。でもまた先生のこの解説は今後とも繰り返し読み直して勉強してみます。


もう一つ。
本のタイトルは『フレーゲ哲学の最新像』で、フレーゲ哲学の最新像とは、他ならぬ新フレーゲ主義だとなっているようです。つまり

ただ、これはちょっと言い過ぎかもしれない、とも感じられます。
確かに今一番フレーゲの哲学で注目されるべきは、新フレーゲ主義の動向だと思います。しかしフレーゲ哲学の最新像が新フレーゲ主義だけに限られるわけではないのは明白だと思われます。
例えば近年Fregeの哲学が、当初のDummettさんの思いとは大きく異なって、Frege以前、およびFregeと同時代の哲学者にかなり影響を受けてできあがっているらしいという歴史的研究がどんどん進展しているものと思われます。これももちろんフレーゲ哲学の最新像です。
ですから「フレーゲ哲学の最新像 = 新フレーゲ主義」と思わせるmisleadingなタイトルにはせめて副題として「新フレーゲ主義をめぐって」などなどを付加した方がよかったのではないかと感じました。

でもいずれにしてもとても面白くためになる本ですので、またぼちぼち読んで勉強させてもらいます。