翻訳: A. N. Prior “The Runabout Inference-Ticket”

今日以下の短い文献を翻訳する。

  • A. N. Prior  “The Runabout Inference-Ticket”, in: Analysis, vol. 21, 1960

根が几帳面で完全主義者の傾向があるから、訳すのに結構時間がかかる。それでも半分ぐらいのpowerでしか訳していない。でも割と時間を食う。
そして今日買ってきた、wordをPDFに変換するソフトででき上がった翻訳をPDF化する。何だかそれっぽい仕上がりになった。とりあえず満足。勉強になった。


ところで上記Prior論文の末尾で‘falsche Spitzfindigkeit’というドイツ語がいきなり出てくる。以前読んだときはあまり深くも考えなかったのだけれど、今回訳すにあたってちゃんと理解しようと大独和なんかを引いて調べるのだが、しっくりくる訳がない。文脈から言わんとしていることはわかるのだが…。
それでもうちょっと調べていると、わかったわかった。この言葉はKantの著作のタイトルから来ているのだ。そのタイトルとはKantが38歳の1762年12月に出版した

  • 『三段論法の四つの格の誤った煩瑣性 Die falsche Spitzfindigkeit der vier syllogistischen Figuren

である。このタイトルの「誤った煩瑣性 (falsche Spitzfindigkeit)」のところをPriorは使っているのである。このKantの著作は未見なので推測だが、おそらくKantは「誤った煩瑣性」ということで、三段論法の第四格は余計なまでに細かくて不要だ、と言いたいのだろう。そんな格などなくとも充分間に合うと言いたいのだろう。Priorさんも冗談で、tonkで充分だ、これさえあれば何でも導出できる、オールマイティーなすごいやつなんだ、とふざけて放言しているのである。なるほどね、勉強になりました、色々と時間食いましたけど…。