入手文献: Sortalsについて

ここ二、三日、sortalsに興味を持っている。


Sortalsとは何か?
例を挙げれば、それは人とか机とかりんごとかである。あるいは「人」とか「机」とか「りんご」とかである*1
水とか粘土とか高さとかは、sortalsではない。あるいは「水」とか「粘土」とか「高さ」とかは、sortalsではない。
要するに、sortalsとは何かを大雑把に言うと、差し当たりであるが、数えられるものが、どんな種類のものかを言っている表現のことである。
水や粘土、高さのように、測られはするが(量られはするが)、数えられないものについてはsortalsではない。


今記したようにsortalsは数えることと深い関係がある。
例えばトランプを数える時、私達はトランプという種類に属するものを数える。
具体的には、トランプを数える時、一枚一枚数えて全部で五十二枚と言うこともあれば、
各トランプをすべて同じと見なしてトランプ1セットと言うこともある。

トランプを五十二枚と数えるか、1セットと数えるかは、トランプという種類に属するものそれぞれを、異なるものと見なすか、同じものと見なすかによる。
ここからsortalsはidentityと深い関係があることがわかる。


さてJohn Perryさんはidentityについて考えておられて、その種の論文もものされている。Sortalsについても書いておられるようだ。
しかし彼のHPを見てみても、sortalsに関する論文の名は載っていない。そのためもちろんその論文をDLできるようにはなっていない。


本日、本屋さんに行き、棚を眺めていると、J. Perryさんのidentityに関する本がある。
見てみるとやはりsortalsに関係する論文も掲載されている。ちょうどいい。
しかも大変求めやすい価格である。
すぐに購入。以下がその本である。

  • John Perry  Identity, Personal Identity And The Self, Hackett Publishing, 2002

This volume collects a number of Perry’s classic works on personal identity as well as four new pieces, “The Two Faces of Identity,” “Persons and Information,” “Self-Notions and The Self,” and “The Sense of Identity.” Perry’s Introduction puts his own work and that of others on the issues of identity and personal identity in the context of philosophical studies of mind and language over the past thirty years.


CONTENTS:
Introduction.


I . IDENTITY


1. The Same F.
2. Relative Identity and Relative Number.
3. Can the Self Divide?
4. The Two Faces of Identity.

1.〜4.の論文が、identityやsortalsにかかわる論文である。FregeやGeachの名前が論文内で目につく。
4.はこの本が初出。
どれもとても面白そうな論文だ。
巻末にglossaryが付いているのも便利である。


また時間があれば読むことにしよう。

*1:Sortalsとは、ある概念のことであると考える人もいれば、ある普遍のことであると考える人もいれば、それは述語のことであると考える人もいる。正確に言って、sortalsとはこれらのいずれなのか、私にはまだよくわからない。Sortalsは言語表現なのか否か、はっきりしないので、本文中で引用表現も追加した。なおもしかすると今述べた概念、普遍、述語以外の何かがsortalsである可能性もあるかもしれない。