今月24日の日記で次の文献を引用した。
- Bertrand Russell, “Logical Atomism”, in Robert C. Marsh ed., Logic and Knowledge: 1901-1950, Routledge, first published in 1956, this reprinted edition in 2005. The paper originally published in 1924.
その324ページに以下のような文が見られる。
Russellは、KantやHegelの数学に関する哲学的見解が、Non-Euclidean geometry, Weierstrass, Cantor, Fregeたちによって生み出された成果により、誤っていることが判明したと述べる。そして次のように続ける。
As all these results were obtained, not by any heroic method, but by patient detailed reasoning, I began to think it probable that philosophy had erred in adopting heroic remedies for intellectual difficulties, and that solutions were to be found merely by greater care and accuracy.
KantやHegelが間違っていたのかどうか、あるいはどこがどのようにどの程度間違っていたのか、その点は置くとしても、少なくとも哲学する際に、好ましいと私自身が感じるスタンスは、今のRussellの言葉にあるように、壮大・大仰な大伽藍風のものではなく、meticulousなまでのminimalismであろうと感じている。ただし、本当にminimalismがよいのかどうか、あるいはminimalismだけでよいのかどうか、minimalismだけでは魅力のある構想を持った深みのある哲学は展開できないのではないかなどなど、色々と意見があろうけれども、私個人は取り合えずの間、minimalismの線をずっと追求して行きたいと感じている。まぁ、もはやあまり流行らなくなってきている方向性なのかもしれないけれど…。
しかし上のRussellの文章は、思わず首肯してしまういい言葉だな。
