以下の文献を読む。順不同。
- エウクレイデス 『エウクレイデス全集 第1巻 原論 I-VI』、斎藤憲訳・解説、三浦伸夫解説、東京大学出版会、2008年
- 斎藤憲 『ユークリッド「原論」の成立 古代の伝承と現代の神話』、東京大学出版会、1997年
- Wilbur Richard Knorr “On the Early History of Axiomatics: The Interaction of Mathematics and Philosophy in Greek Antiquity”, in Jean Christianidis ed., Classics in the History of Greek Mathematics, Kluwer Academic Publishers, Boston Studies in the Philosophy of Science, vol. 240, 2004
- 村田全 『数学史散策』、ダイヤモンド社、1974年
- ニコラ・ブルバキ 『ブルバキ数学史 上』、村田全、清水達雄、杉浦光夫訳、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2006年
- ニコラ・ブルバキ 『ブルバキ数学史 下』、村田全、清水達雄、杉浦光夫訳、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2006年
- 佐々木 力 『数学史入門 微分積分学の成立』、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2005年
一つだけ補足しておくと、上記一番目のエウクレイデス全集では斎藤先生による解説「第6章 『原論』と初期ギリシャ数学の展開」を読む。
そしてエウクレイデス全集以下を含め、論証的な数学 and/or 公理論的な数学の誕生時期、誕生したところ、誕生に関わった人々について、調べる。
恐らく、分析哲学、中でも論理学の哲学や数学の哲学に興味を持っておられる方は「論証的/公理論的な数学は、いつどこで誰が考え出したのだろうか?」という疑問を多少なりとも、また漠然としたものであれ、お持ちのここと思います。私自身もそうでした。
近年の古代ギリシャ数学史研究を受けて、この疑問に対する一定程度の答えが出されてきているようです。
ちなみに、これも恐らく言うまでもないことだと思われますが、論証的/公理論的数学を考え出したのは、エウクレイデスではありません。
彼以前の誰かだ、ということになります。
それは一体誰なのか?
というか、特定の誰かだ、と具体的に名前が挙げられるようになってきていることに、私は驚いた。
段々と論証的/公理論的数学が出来上がってきて、エウクレイデスが集大成したのだろうと思っていたが、斎藤先生やKnorrさんは特定の個人のお名前を挙げて、「この人だ!」と指定されておられます。すごい。
そんなことを思いながら、上記文献をあれこれ引っくり返していると大変面白い。
個人的に色々と意外な感に打たれる。
可能であるならば、そのことについてまた記したい。