Wittgenstein's Complaint against Frege about his Manuscript of Tractatus

上記入手文献1本目の

  • “Letter from L. Wittgenstein to B. Russell, 19.8.1919”, in Brian McGuinness, ed., Wittgenstein in Cambridge: Letters and Documents 1911-1951, Fourth Edition, Blackwell Publishing, 2008

は、かなり有名な書簡だろうと思います。色々な機会に引用されているものと思われます。Tractatusにおける核心は何であるのかが手短に記録されています*1
そしてまたここでWittgensteinはFregeに言及しています。Tractatusの原稿をFregeに読んでもらったが、一語も理解してもらえない、と嘆いています。この嘆きはMcGuineessさんの例の伝記にも出てきていると思います。その有名な一文を以下に引用してみましょう。イタリアの捕虜収容所内からRussellに宛てた手紙です。

I also sent my M.S. to Frege. He wrote to me a week ago and I gather that he doesn't understand a word of it all. So my only hope is to see you soon and explain all to you, for it is VERY hard not to be understood by a single soul!

しかしFregeにしてみれば、「あんな書き方で、そんなの理解できませんよ」というのが心情であろう。まぁ、無理もないかもしれない…。


PS
上記入手文献2本目の書簡もとても面白いことが書いてある。
Ramseyさんも心乱れておられるようだ。
後日この日記に記したいと思う。
おやすみなさい。

*1:Proposition / Languageでexpressedされることと、expressedされ得ずにshownされるだけであること、このことがcardinal Problem of Philosophyだ、と書簡中で述べています。これがTractatusでのmain pointだとされています。