• 大西琢朗  「フレーゲの文脈原理」、科学基礎論学会 2008年度総会と講演会 (於 東京電気大学) 発表要旨、2008年6月2日
  • Ulrich Majer  “Hilbert' Axiomatic Approach to the Foundations of Science −A Failed Research Program?”, in Vincent F. Hendricks et al. ed., Interactions: Mathematics, Physics and Philosophy, 1860-1930, Springer, Boston Studies in the Philosophy of Science, vol. 251, 2006
  • 坪井明人 研究代表  『自然数の超準モデルにおける1階定義可能性の研究』、RIMS研究集会報告集 2005年9月12日〜9月15日、数理解析研究所講究録 1469、京都大学数理解析研究所、2006年2月


1本目の大西先生の論文要旨は大変興味深い。概念の外延としての論理的対象の存否は文脈原理の成否に依存しているので、文脈原理を詳しく吟味する必要があるとされ、しかしいずれにせよRussellのparadoxによってFregeのlogicは掘り崩されるので、救済策を考えなければならず、その助け舟をFrege構造に求め、このFrege構造の理論によれば、より文脈原理を深く理解できるとされている。またFrege's Logicist Programmeとは何であるのかについて、通念を打破するような見解を提示されておられます。大略以上のような感じの話です。大変刺激的でかつ教えられるところの多い考察のようです。すごいなぁ。


2本目の論文については、この論文が載っている本を、以前ある数学基礎論史の先生にお見せし、「先生、この論文は読まれましたか?」と、その論文の概要をご説明差し上げようとしたところ、即座に「あ、その本は買って読みました」とあっさり返答されてしまったことがある。さすがだ。論文を走り読みしただけで、入手してちゃんとは読んでいなかったので、今回入手。


3本目には次のような興味深い論文が掲載されている。

包括原理であるから、Fregeである。この論文はFregeの話ではないけれど、Fregeを勉強している者にとってはためになる。包括原理のみで算術をどこまで展開できるかというような話である。ただしかなりtechnicalな論文。私も全部はわからないので一部拾い読みした程度であるが、そのうちぼちぼち勉強していきます。