次の文献を一部再読。
末尾近くの237ページ以下を読んでいると、indefinitely extensible concepts を思わせるような記述があり、驚く。
初歩的な解説文中のことなので、話が大まか故、この竹内先生の記述が indefinitely extensible concepts そのものだとは断言できないが、よく似た発想を示しているように見える。少し長くなるが当該の文を引用してみよう。
集合論の矛盾について
連続体仮説についてあれほど悪戦苦闘したカントールが集合論の矛盾に対しては比較的冷静でした。
カントールは、矛盾は彼の研究を進歩させるためのプラスになる結果だと思っていました。彼は集合論が神から啓示を受けた絶対的に正しいものと信じていたからです。
自分で矛盾を発見しているカントールが自分の集合論が絶対的に正しいと思っているのは不思議な気がします。しかし私は、カントールは正しかったのだと思います。その後の発展からとくに公理的集合論をみますと、カントールの集合論が正しいということと、集合論の矛盾とはまったく別のことのような気がします。集合論の矛盾がいっているのは、
“集合全体を一つの集合と考えるのは、その集合に入らない集合が存在するので矛盾する。”
ということであり、私はこれは本当の矛盾ではないと思います。これは集合の universe が growing universe である、ということをいっているだけです。数学ではそれまで自然数の全体のようにはっきりと固定した universe だけを考えてきました。growing universe [ママ] を考えるということは革命的なことで、すぐに認められることではないかも知れません。しかし集合論のその後の発展は growing universe の考え方の裏付けをしているように思います。
Indefinitely extensible concepts が存在すると主張する人は、引用文中で竹内先生が述べておられるのと同じようにして、上記集合論の矛盾と見えるものが実は矛盾ではないと主張します。そして indefinitely extensible concept の extension は、次々とinclusive に growing して行くと考えます。この辺り、竹内先生と indefinitely extensible concepts の主張者は発想がよく似ています。
そもそも indefinitely extensible concepts のprimitive なアイデアは、確かCantorに由来します。したがってCantorの集合論をご研究されている竹内先生と indefinitely extensible concepts の主張者とが発想を共有していたとしても不思議ではありません。両者の間には興味深い符合が存在するように感じました。
なお、以上は私の浅薄な感想にしか過ぎません。勘違いしている可能性が非常にありますので、話を鵜呑みにされることなく、各自でご確認願えればと思います。間違っていましたら大変申し訳ございません。読み返して校正もしていませんし…。
PS
この他に以下の文献の一部を拾い読む。
- George Boolos Logic, Logic, and Logic, Richard Jeffrey, ed., John Burgess, introductions and afterword, Harvard University Press, 1998
大変興味深い…。