Wittgenstein's Argument against Frege's ‘Hume's Principle’

上記の入手文献欄で記した

  • Boudewijn De Bruin  “Wittgenstein on Circularity in the Frege-Russell Definition of Cardinal Number,” in: Philosophia Mathematica, vol. 16, no. 3, 2008

を読んでいると、とても興味深いことが書かれている。それは私自身の不勉強さ故、知らなかったことなのですが、Wittgenstein が Frege の Hume's Principle を論駁している文章があるという話です。‘Hume's Principle’という言葉は近年になって出てきた言葉なので、もちろん Wittgenstein 自身はこの言葉を知りませんでしたが、この言葉に対応する文なり原理なりは知っていたと思われます。そしてそのような文なり原理を Wittgenstein は論難しているらしい。その原理を一般的に書き表せば次のようになるものと考えられます。

    • N(F) = N(G) ⇔ F 〜 G

この式を日本語で言い表せば、「概念 F に帰属する基数と概念 G に帰属する基数が同一であるのは、概念 F と G との間に一対一対応(全単射)がある時、かつその時に限る」とでもなるだろう。
Wittgenstein はこの原理を批判しているようです。取り分けこの原理の右辺の一対一対応(全単射)を論難しています。Wittgenstein にとって、この一対一対応(全単射)の何が問題だというのだろうか? 彼の言い分を以下に記しておきたい。


しかしもう真夜中であるし、この後少しだけ Kant の Antinomie 論に関する論文を読みたいので、今日の日記はここでお終いにし、残りは後日、記したいと思います。早く続きが知りたい方は、上記 De Bruin 論文の section 2 をご覧下さい。平易な英語で書かれているので理解は容易だと思います。


おやすみなさい。