先月注文した以下の本を購入。

  • G. E. Revesz  Lambda-calculus, Combinators and Functional Programming, Cambridge University Press, Cambridge Tracts in Theoretical Computer Science, no. 4, 2009 (Hardback Originally Published in 1988)
  • Hans D. Sluga  Gottlob Frege, Routledge, The Arguments of the Philosophers, 2008 (Originally Published in 1980)


後者の Sluga さんの本は本当に入手できるのか、半信半疑だったがちゃんと入手できました。


この Sluga さんの本に対しては、かつて飯田隆先生が非常に低い評価を下しておられました*1
確かにこの本の初めの方では、ドイツの見慣れない方々のお名前が多数出てきますので、読み進めようという気持ちが挫けそうになると思います。
何だか哲学の本というより歴史の本といった感じです。
しかしもともと、Dummett さんの本と差異化を図るべく歴史的観点を強く打ち出すことを preface で宣言して書かれていますので*2
ある程度、哲学書というより歴史書と思って読んだ方がよいのかもしれません。
そのいみで、Dummett 本と Sluga 本はかなりタイプの異なる本と言えるのかもしれません。


例えば日本語について、現在その言語がどのような文法構造を持っているのかを記述している『現代日本生成文法』というようなタイトルの本と、
その言語が現在の形を取るに到った歴史的経緯を物語っている『日本語の歴史』というようなタイトルの本とがある場合、
この二つの本を単純に比較して優劣をつけることは、やや難があると感じられますが、
多分 Dummett 本と Sluga 本も単純に比較することは難しいのではないかと思われます。
実際には両者は役割を異にしており、それぞれの持ち味があるのではないか、という印象を受けました。


幸いなことに、歴史は両書の持ち味を活かす方向へと進み、
Dummett 本を受けて Frege の哲学の理論的側面を深める動きが促進されるとともに
Sluga 本を受けて Frege の哲学史上の位置付け (例えば Neo-Kantianism) や
数学史上の位置付け (例えば Riemannian Tradition) が検証されるようになってきており、
私達の Frege 理解が深まって来たという点で、Dummett 本と Sluga 本は共に一定の役割を果たして来たと思います。


いずれにしましても、今回この Sluga 本を購入し、早速、後の方のページを拾い読んでみると、私には教えられる点もあり、参考になりました。
私のような未熟者には勉強になる記述が含まれているように感じられますので、もう少し拝読させていただきたいと思います。


就寝前にさくさくと書いているので、よく読み直さないでここまで書きました。
誤解・無理解等が含まれていましたらすみません。
おやすみなさい。

*1:言語哲学大全 I 論理と言語』、244ページ。

*2:Sluga, p. x.