入手文献: 『みすず』 2009年読書アンケート

昨日以下の文献を入手した。

  • 『みすず』、2009年読書アンケート、no. 579, 2010年1・2月合併号

ここには多くの先生方が、2009年に読んだ本で、印象深かったものを紹介されています。


私自身が2009年に読んだ文献で興味を感じたものは、2009年12月26日の日記で記しています。そこで私は印象深かったものとして次の二本の論文を挙げていました。

  • Gregory Landini  “Russell's Separation of Logical and Semantic Paradoxes,” in: Revue Internationale de Philosophie, vol. 58, no. 229, 2003
  • Ditto    “Logicism's ‘Insolubilia’and Their Solution by Russell's Substitutional Theory,” in Godehard Link ed., One Hundred Years of Russell's Paradox: Mathematics, Logic, Philosophy, Walter de Gruyter, De Gruyter Series in Logic and its Applications, vol. 6, 2004


つまり Landini さんの文献に昨年はとても興味をかき立てられたという訳です。


さて、昨日入手した上記の『みずず』を読んでいると驚いたのは、飯田隆先生のアンケート結果でした。先生が2009年にお読みになられて興味を感じられた文献が4点上げられていました。それは次のものです。


いきなり Landini さんの文献が上げられています。びっくりしました。私も去年とても面白く感じたのは Landini さんでした。しかも先生が上げておられる Landini さんの本は私もつい1週間ほど前に入手し、昨日もちらほら拾い読みしておりましたので、その後に先生のアンケート結果を読んで、ちょっと驚きました。さらに Potter さんの本も入手していましたし、土屋先生の本も何冊か購入しておりましたので、本当にびっくりしてしまいました。但し、上記の Landini 本も Potter 本も土屋先生のご高著も私はちゃんと読んでませんので、同じような文献を手に取っていながら、私は先生と違って激しく不勉強かつ怠惰な人間です。先生と同じような文献を手に取っていることを、何だか恐れ多くかつ不遜なことだと感じます。そしてよく勉強していない自分を恥ずかしく思います。


ちなみに先生は上記の Landini 本と Potter 本を Russell の影響という点から特徴付けておられ、Landini 本は Russell の Wittgenstein への圧倒的影響を論証しようとしているのに対し、Potter 本は Russell の Wittgenstein への影響を minimum にしようとしていると、このような趣旨の説明を先生はされておられます。そして先生は Landini 本も十分検討に値するが、Potter 本の方に説得力があるとみなしておられます。
私自身はどちらに説得力があるのか、両著をまだよく読んでいませんし、例え読んだとしても私にそれらの本の特徴を正確に判断する力はありませんが、個人的に面白いと感じるのは Landini 本です。というのも、Potter 本は通説に沿うような内容であると推測されるのに対し、Landini 本はあからさまに通説に反するものであるからです。しかも Landini 本は、単に通説に反するのみならず、実証性を持っていると思われる unpublished manuscripts の研究結果に基づいていることと、Landini さんの持つ細かい論理学の知識に裏打ちされた形で、通説をなでぎろうとされている点で、かなりの力技が駆使されているのではないかと感じられるからです。つまり簡単に言うと、Potter 本ならば、読了後、「そうかもしれませんね」という既存の解釈に収斂して行きそうな感想を持つことになりそうですが、Landini 本ならば、読了後、「え、そうなの!?、それは知らなかった、そんな風に読めるんだ、これはちょっと検討し直してみる必要があるかもしれないな」という眼を見開かされるような印象を持つことになるのではないかと思うのです。
まぁ、よく読みもしないうちから、結論を設定してしまうのは、自分としてもどうかとは思いますが…。


このほかに入手した文献は、次の新刊です。

書店で手に取り、中もよく見ずに、すぐにレジへ持って行って購入させてもらいました。