Memo: Is Wittgenstein a Logicist? Yes, He Is.

以下に memo を走り書きします。


2010年2月2日の日記に‘Is Wittgenstein a Logicist?’という項目を書きました。Wittgenstein を Logicist と見なす研究があることに、つい最近まで気が付かなかったことを述べた項目です。その項目で Wittgenstein を Logicist と見なす論者として、P. Frascolla さんと M. Marion さんの名前を挙げました。
さて、ついこの間入手した次の文献を、拾い読み続けていると、

  • Gregory Landini  Wittgenstein's Apprenticeship with Russell, Cambridge University Press, 2009 (First published in 2007)

ちょっと驚いたことに、Landini さんも Wittgenstein を Logicist と見なしていることがわかりました。上記の本の Chapter 5 ‘Tractarian Logicism’を参照下さい。
Logicism というのは大まかに言うと、通常、数学あるいは実数論までの数論を、論理学に還元し得るとする立場だと思います。Logicism ということで人が一番頭に思い浮かべるのは、このような還元のことだと思うのですが、Landini さんによると、Logicism は件の還元を含意しない、Logicism と件の還元は不即不離ではない、それらは差し当たり別々の事柄なのだ、と述べておられます*1。このように Logicism の内実を選り分けた上で、Wittgenstein の Logicism は、数学なり算術なりを、何らかの論理学に還元するようないみでの Logicism ではなく、もっと別の Logicism なのだ、とLandini さんは考えておられます*2。 では、どのような Logicism なのかというと、あるいみで、どのようないみであるかは今は明確にできませんが、とにかくあるいみで、論理学というのは数学と同じなのだ、あるいは論理学と数学は同じことをやっている、というのが、Landini さんにとっての Tractarian Logicism なのだろうと推測されます*3
今まで私は Logicism という言葉の内容をひどく単純に捉え過ぎていたのかもしれません。もう少しきちんと学び直すことが必要なのだろうと思います。そのように Logicism を細かく把握し直した上でなら、Tractarian Logicism も検討の余地があるのかもしれないと感じました。なかなか面白そうです。


以上はあまりに雑駁なお話ですが、まだ Landini 本を走り読んでいる途中なので、何卒お許し下さい。何か勘違いしていましたら、あらかじめお詫び申し上げます。もう遅いので寝ます。おやすみなさい。

*1:Landini, pp. 148-49.

*2:Landini, p. 185.

*3:Ibid.