最近入手た文献を以下に記します。

  • Roman Murawski  “Philosophy of Mathematics in the Warsaw Mathematical School,” forthcoming in Axiomathes
  • Sandy Berkovski  “Possible Worlds: A Neo-Fregean Alternative,” forthcoming in Axiomathes
  • Alasdair Urquhart  “Anderson and Belnap’s Invitation to Sin,” in: Journal of Philosophical Logic, vol. 39, no. 4, 2010
  • C.リード  『ヒルベルト 現代数学の巨峰』、彌永健一訳、岩波現代文庫、2010年
  • 中根美知代  『ε-δ論法とその形成』、共立出版、2010年
  • 林隆夫  『インドの数学 ゼロの発明』、中公新書 1155、中央公論社、1993年 (古書)

早速 Murawski さんの論文を拝読する。Sierpinski, Janiszewski and Mazurkiewicz さん達の話です。これら Warsaw Mathematical School の人達が set theory に託した考えを記述しています。一読した限りでは、特に目新しい主張がなされているようには感じませんでした。この論文の要点を一言で言えば、次のようにでもなるでしょうか。Warsaw Mathematical School の Philosophy of Mathematics に対する考えとは、この学派の人々が特定の哲学的立場を信奉するのではなく、各自哲学的判断を保留して中立の立場を取り、いかなる立場がありうるかについて、自覚的ではあっても、それを哲学的に追究することなく、むしろ数学的考察を優先させるという stance を取っていたということ、これがこの学派の特徴であると述べられているものと思われます。これは従来から指摘されていることだと思われますので、あまり新味がなく、志賀先生の

により日本語で読める話も出てきていたりして、全体的には、つまり細部の事実は別として、それほどありがたい論文ではないように感じられました。論文タイトルに“Philosophy of Mathematics …”とありますが、Warsaw Mathematical School の人々は哲学的に中立の立場を取っていることから、哲学の突っ込んだ話はほとんど出てこないので、詳しい哲学の話が聞けると思ってこの論文を読むと期待を裏切られてしまうと思います。但し、これは私の極個人的な印象なので、間違っていましたらお詫び致します。