まず、哲学関係。
- Saul A. Kripke Philosophical Troubles: Collected Papers, Volume 1, Oxford University Press, 2011
- Kathrin Glüer Donald Davidson: A Short Introduction, Oxford University Press, 2011
- Oskari Kuusela and Marie McGinn ed. The Oxford Handbook of Wittgenstein, Oxford University Press, Oxford Handbooks in Philosophy Series, 2011
- 神野慧一郎 『イデアの哲学史 啓蒙・言語・歴史認識』、ミネルヴァ書房、2011年
- 足立恒雄 「フレーゲ、デデキント、ペアノを読む 現代における算術の成立、第8回 デデキント その3」、『数学セミナー』、2011年12月号
神野先生の本では、近世の言語哲学に関する話がまとまった形で読めます。Hobbes, Port Royal, Locke, Condillac, Rousseau, Herder の言語論が扱われています。Linguistic Turn の先蹤が、近世に見られるという話を時々眼にすることがあるので、近世の言語哲学の勉強のために購入。
そして、哲学以外。
- フレデリック・コーエン 『ブルーノート・レコード オリジナル・プレッシング・ガイド』、行方均訳、DU BOOKS / ディスクユニオン、2011年
- 山本史郎、森田修 『英語力を鍛えたいなら、あえて訳す!』、日本経済新聞出版社、2011年
- 南出康世、中邑光男編 『ジーニアス和英辞典 第3版』、大修館書店、2011年
- 安西徹雄 『英和対訳 シェイクスピアの名せりふ100』、丸善ライブラリー 348, 丸善、2001年 (古書)
- 小塩節 『ドイツのことばと文化事典』、講談社学術文庫 1290, 講談社、1997年 (古書)
- 村上春樹 『村上朝日堂 はいほー!』、文化出版局、1989年 (古書)
コーエンさんの本は、非常に重要だと思われます。私は Blue Note records の collector では全くありませんが、Jazz の歴史に興味を持っている者として、collector であろうがあるまいが、必備であると考えて即購入。この本に載っている情報は、通常、各自が各自なりの経験に基づいて各々蓄積していくものであり、ものすごく時間と労力とお金が必要となりますが、それが三千円ほどで簡単に入手できるのですから、非常に安い。はっきり言って、こういう情報は普通、お金を出しても手に入らない。それが三千円ほどで手に入ってしまうのだから、買える時にすぐさま買っておかなければならない。でないと、品切れ入手不可となってしまいます。という訳で、ほとんど中身も見ずに即刻購入。
ただ一つだけ残念なことは、この本がどのような本から翻訳されたのか、その書誌情報が本書に記載されていない点です。私が見た限りでは、そのような情報がないように見える。原著者名と、原書の書名らしいものは載っているが、原書の出版社や出版地、出版年の類いがまったく載っていないようである。これでは翻訳書の価値が落ちてしまう。Blue Note records の事実が執拗なまでに細々と書いてある本なのに、書誌情報が不完全である。これは翻訳書の信頼性を損います。このような書誌情報の欠如は、時々 Jazz や Bossa Nova の翻訳書に見られますが、この本でも同様の欠損が見られ、非常に残念です。(但し、載っているのに私が書誌情報の記載を見落としていましたら、大変すみません。) そこで調べてみると、この翻訳書は次の本からの翻訳だと思われます。
- Frederick Cohen Blue Note Records: A Guide for Identifying Original Pressings, New York: A Jazz Record Center Publication, 2011
The Jazz Record Center の HP を見ると、この本の出版年が書かれていない。しかし、その他の HP を調べると、どうやら 2011年の初め頃に刊行されたらしい。 まだ入手可能なようです。(http://jazzrecordcenter.com/store/index.php?main_page=product_info&cPath=1_9&products_id=2277) あと、非常に重要で貴重な本ではありますが、そこに載っている情報がすべて正しいとは限りません。ですから、慎重に検証を行いながら、本書は読まれる必要があると思います。このようなことは、この本に限ったことではありませんが…。コーエンさんの本の話はここで終わります。
私は『ジーニアス』シリーズが好きなので、新たに出た和英辞典第3版を入手。但し、『ジーニアス』ものなら何でも持っているという訳ではありません。
英語の文章を読んでいると時々 Shakespeare に由来するらしい言葉に出会うことがある。文学研究書や文学辞典を持っていないので、安価で compact で感じのよい Shakespeare のせりふ辞典のようなものがほしかった。そのような訳で安西先生の本を見かけて購入。そこで早速この本で知ったことを一つ。例えば、Joan Weiner さんの論文に、次のような title を持ったものがあります。
- Joan Weiner ''What's in a Numeral?: Frege's Answer,'' in: Mind, vol. 116, no. 463, 2007
この論文は持っているものの、実は私はまだ本文は読んでおりません。ですから確たることは言えませんが、恐らくこの論文の題名は Shakespeare の有名なせりふに由来します。今日、安西先生の本を購入してから初めて気が付きました。多分、Shakespeare をやっている方は、そのせりふの出典をすぐ指摘できると思います。お知りになりたい方は、安西先生の本の136-137ページをご覧下さい。安西先生の本の話はこれで終わります。
ドイツ語の勉強とともに、ドイツの文化や歴史も学ぶ必要がある。そこで小塩先生の本を購入。
村上さんの本は文庫本で持っているが、古書店で初版の安価な本を見かけたので購入。
最後に。次の Journal が我が家の post に届いた。
- History and Philosophy of Logic, vol. 32, no. 4, 2011
- Catarina Dutilh Novaes ''The Different Ways in which Logic is (said to be) Formal''
- Matthias Wille '' 'Metamathematics' in Transition''
- John Corcoran and José Miguel Sagüillo ''The Absence of Multiple Universes of Discourse in the 1936 Tarski Consequence-Definition Paper''
- George Weaver ''A General Setting for Dedekind's Axiomatization of the Positive Integers''