- David Hilbert and Paul Bernays Grundlagen der Mathematik I. Foundations of Mathematics I, Part A: Prefaces and §§1-2, edited by Claus-Peter Wirth, Jörg Siekmann, Michael Gabbay, Dov Gabbay, Bilingual German-English Commented Edition, College Publications, 2011
- Charles Parsons and Mongomery Link ed. Hao Wang: Logician and Philosopher, College Publications, Philosophy Series, 2011
- Rod Adams An Early History of Recursive Functions and Computability: From Gödel to Turing, Docent Press, 2011
- 田島一郎 『イプシロン‐デルタ』、数学ワンポイント双書 20, 共立出版、1978年
- 中山康樹 『LA・ジャズ・ノワール 失われたジャズ史の真実』、河出書房新社、2012年
- 行方昭夫 『解釈につよくなるための英文50』、岩波ジュニア新書 706, 岩波書店、2012年
Hilbert and Bernays さんの本は、独英対訳本で注釈付き。中を見ると Grundlagen に対する初めての英訳と書かれている。それは知らなかった。左ページに第二版のドイツ語原文、右ページにその英訳と注釈が脚注という形で収められています。そして巻頭には Wilfried Sieg さんによる長めの解説が付いています。この解説は、
- Dov M. Gabbay and John Woods ed. Logic from Russell to Church, Elsevier, Handbook of the History of Logic, vol. 5, 2009
に載っていたものの再録で、原則的に内容は変わっていないようです。今回購入した本は、恐らく全部で三巻からなるもののようです。続きの巻も出たら購入するつもりです。
Hao Wang 本は、Festschrift に相当する論文集。Wang さんの生前には、Festschrift はなかったそうです。1972年の米中国交樹立後、Wang さんは何度か中国に里帰りされたようですが、これ以降、Wang さんは中国語でも中国人知識人を読者に想定し著述するようになったそうです。これは今まで英訳もされていなかったそうですが、そのうちのいくつかが今回の本の中で英訳されています。という訳で、今回の本の特徴は、中国側から見た Wang さんと言いましょうか、中国人としての Wang さんを意識しながら編集されている本のようです。珍しいので購入しました。
Adams さんの本は、元々1983年に提出された博士論文を、若干の修正を施して本にしたもののようです。副題に 'From Gödel to Turing' とありますが、recursion theory の起源を19世紀の Herman Grassmann, Peirce, Dedekind and Peano にまでさかのぼり、ついで Skolem を経て、Gödel や Turing らによる 'The Confluence of Ideas in 1936' (Robin Gandy) が生じるまでを描いているようです。本文の記述もさることながら、とても興味深いのは、著者が Church, Kleene, Hao Wang, Heijenoort, Rosser さんたちに1970年代後半から1980年代前半までの間、書簡で質問したことに対し、得られた回答の書簡を、そのまま scan して掲載し、かつ活字にも起こして記載していることです。貴重な歴史的証言かもしれません。