ついこの間、注文した以下の文献が早速届いた。
前回の2012年9月2日の日記に、この本の表紙写真が載っています。
30年ほど前に
- Michael Nedo und Michele Ranchetti hg. Ludwig Wittgenstein: Sein Leben in Bildern und Texten, Suhrkamp, 1983
という本が出ていました。これは Wittgenstein の生涯を写真でつづったもので、大変たくさんの写真が載っていました。今回入手した本も、同じような内容の本です。非常にたくさんの写真が掲載されており、それを見ることで Wittgenstein の生涯がわかるようになっています。
今回入手の本を Beck 版と呼び、30年前の本を Suhrkamp 版と呼ぶことにします。
両者ともに、よく似た内容の本で、Suhrkamp 版で使われていた写真が Beck 版でもたくさん使われています。Beck 版の方が Suhrkamp 版よりも、写真の掲載点数が多いみたいです。Suhrkamp 版の掲載写真点数は 490点ほど、Beck 版の点数は516点ほどです。Suhrkamp 版には載っていなかったと思われる写真が、今回の Beck 版では載っている様子です。まだ Beck 版を買ったばかりで、以前に購入して手元に持っている Suhrkamp 版と写真を一対一に付き合わせて確認した訳ではないので断言はできませんが、前回載っていなかったと思われる写真が今回載っているみたいです。Suhrkamp 版のページ数は394, Beck 版は463ページになっていて、今回増量されている感じです。また、Suhrkamp 版は写真がどれも白黒であるのに対し、今回の Beck 版はところどころカラー写真が挿入されています。Wittgenstein の生きた時代は、主としてモノクロ写真の時代でしたので、今回の Beck 版でも古い写真は皆モノクロですが、Wittgenstein の遺品などは今に残っているものもありますので、それらをカラーで写した写真が今回の Beck 版では掲載されており、きれいでとても質感のある写真として見ることができます。
以上の point をまとめると、Beck 版は Suhrkamp 版よりも、写真の点数が多く、前回未掲載の写真が載っており、ページも増えていて、カラー写真も見ることができます。これほど大量に Wittgenstein 関係の写真が一書になっている本はないでしょうし、確か Suhrkamp 版はすでに品切れで、古書でないと入手不可能だったと思いますので、Hard の大型版でありながら非常に安価な今回の Beck 版は、Wittgenstein に興味がある方は、ぜひ持っておきたい本だと思います。特に、これから Wittgenstein を研究しようとお考えの方には、Beck 版は must だと思います。Wittgenstein の研究者でありながら、Suhrkamp 版も Beck 版も持っていないということになれば、それはちょっとまずい気がします。
なお、Beck 版は何から何までいいことずくめかと言うと、そうでもありません。Suhrkamp 版にもいい点があります。それは Suhrkamp 版の方が Beck 版よりも、少しだけ本全体が大きい作りになっており、それに合わせてか、Suhrkamp 版の方が Beck 版よりも、写真が大きく掲載されていることが多く、Suhrkamp 版の方が見ていて迫力があります。Suhrkamp 版の方が、写真を紙面一杯に引き延ばす感じで大写しにしているのに対し、Beck 版は写真が少し小さい感じで、紙面に余白が結構あるような印象を受けます。劇的さ、迫真性、これらを求めたければ Suhrkamp 版を見るのがよく、小ぎれいに落ち着いた、より多くの写真を見たいのならば Beck 版をひも解くのがよい、ということになるでしょうか。
今日の日記に写真が貼ってありますが、その写真に写っているのが、今回購入した Beck 版の紙面です。写真の右下に写っているのは、Wittgenstein の持っていた pocket diary の表紙ですが、赤茶色をしていることがわかるでしょうか。左上から覗き込んでいる変な生き物は nuhsnuh です。
(先ほども述べましたが、Beck 版を購入したばかりで、Suhrkamp 版と詳しく比較した訳ではございませんので、上記の事柄に間違いがありましたらお詫び致します。Beck 版を購入するか否かは、ご自身の判断でお願い致します。とは言え、私は今回 Beck 版を買ってよかったと思っています。)