Quine's Slingshot Argument Reconstructed by Dagfinn Føllesdal

前回の日記では、''Føllesdal and Quine's Slingshot Argument at a Glance'' と題して、Føllesdal さんによる Quine's Slingshot Argument の話を聞きました。そこで今回は、Føllesdal さんによって再構成された Quine's Slingshot Argument を実際に見てみたいと思います。

Quine の主著 Word and Object における Slingshot Argument は*1、p ⊃ □p を定理として証明する論証です。この定理が言わんとしていることは、p が成り立てば、p が必然的に成り立つということ、p が真理であれば、p は必然的真理である、ということです。特に必然的であるとも偶然的であるともされていない、ただの真理は、全部必然的真理である、ということを述べています。ですから、例えば夏目漱石が作家であるということが真であれば、漱石が作家であるというのは必然的です。また、先の定理は、次のようにも解することができます。つまり、ただの真理があれば、それで必然的真理であることに十分である、ということです。その場合、ことさら必然的真理を持ち出すことに、いみはない、ということです。真理という真理は全部必然的真理に決まっているのだから、わざわざ必然的であるという冗長な但し書きを付け加えることに、いみはまったくない、ということです。という訳で、この定理が成り立つとするならば、どんな真理もすべからく必然的真理なのだ、という法外なことが起こり、かつ、真理は皆、必然的真理に他ならないのだから、必然的真理に特有と見える論理を追究する様相論理学なるものを、あえて打ち出したり持ち出したりすることは完全に無駄であって、古典論理だけで十分であるという、多くの人にとっては受け入れがたいことが帰結します。


それでは以下に、Føllesdal さんによって構成し直された Quine の Slingshot Argument を見てみましょう*2。下では、Føllesdal さんによって示された証明を、ほとんど変更せずに提示しています*3

  (1')  x = x                      axiom of identity
  (2')  □( x = x )                  (1') by rule RL of modal logic ( If ⊢ A then ⊢ □A )
*(3')  (iy)( y = x . p ) = x           ['i' is a definite description operator.]
*(4')  (y)( y = x . p .≡. y = x )       (3') by contextual definition of definite description
*(5')  x = x . p .≡. x = x            (4')
*(6')  p                          (5') by axiom of identity [i.e., (1')]
  (7')  (iy)( y = x . p ) = x .⊃ p       *(6')
  (8')  □( (iy)( y = x . p ) = x .⊃ p )    (7') by rule RL (see above)
*(9')  p
*(10')  y = x . p .≡. y = x            (9')
*(11')  (y)( y = x . p .≡. y = x )       (10') y
*(12')  (iy)( y = x . p ) = x            (11') by def. of description
*(13')  □( (iy)( y = x . p ) = x )        (2')(12') by substitutivity of identity
*(14')  □( (iy)( y = x . p ) = x .⊃ p ) ⊃. □( (iy)( y = x . p ) = x ) ⊃ □p   Axiom of Modality
*(15')  □p                         (8')(13')(14')
  (16')  p ⊃ □p                      *(15')


各行を解説して行きます。この解説は、よく言えば、丁寧な解説かもしれませんが、悪く言えば、極めてくどい解説です。しかし、くどすぎるほど細かく説明していますので、私もそうですが、論理学が得意でない方も、証明を follow できるのではないかと思います。加えて、詳しく説明しているため、私が間違っている場合も、どこで間違っているのかが、比較的容易に判明するのではないかと考えています。間違った説明をしていましたら、大変すみません。どうかお許しください。なお、言語表現の使用と言及の区別は、大まかなものになっています。それほど誤解は招かないと思いますので、ご了承ください。


(1')
どのようなものも自身に等しいことを述べています。これは普遍的に成り立つものと思われますので、無前提に成立する公理として、ここでは採用されています。


(2')
どのようなものも自身に等しいことは必然的である、と述べています。The rule RL of modal logic ( If ⊢ A then ⊢ □A ) とは、いわゆる「必然規則 The Rule of Necessitation」と呼ばれる規則です*4。'⊢ A' は、'A' が定理であることを言っています。'⊢ □A' は、'□A' が定理であること、あるいは「A は必然的である」が定理であることを言っています。A がtautology, あるいは論理的に妥当な式だとすれば、それは論理的に真であり、必然的に真であると見なすことができます。あるいは、A が証明できたなら、必ずそれは証明できるのであり、必然的に A が成り立つと言えます。ですから、証明された定理は、必然的に成り立つということです。したがって、⊢ A ならば ⊢ □A です。ところで (1') 行目 'x = x' は公理で、公理はそれ自身で自分の証明になっていると考えられていますから、(1') 行目の公理は、公理であるとともに、定理です。ですから、(1') 行目は証明されていると考えられますので、⊢ x = x であり、よって ⊢ □( x = x ), すなわち (2') 行目です。


*(3')
*(3') 行目の '*' は、(3') の式が、仮定か、または仮定のもとで出てくる式であることを表しています。ここでは (3') の式が仮定であることを示しています。ところで、「(確定) 記述句」と呼ばれる表現があります。例えばそれは、'the highest mountain in the world (世界一高い山)' というような表現で、ある特徴を満たす、ただ一つのものを指す表現です。英語では通常、'the highest mountain … ' のように定冠詞が付きます*5。これを記号では '(ix)Fx' などと表します*6。これは、F であるような特徴を持った、ただ一つのもの x ということを述べています。'i' は、その右横に書かれている x が、F という特徴を持った、ただ一つのものですよ、ということを伝えています。(ix)Fx の具体例としては、世界で一番高い山であるという特徴を持った、ただ一つのもの x などがあります。そして F であるような特徴を持った、ただ一つのもの x が、例えば y に等しいなら、'(ix)Fx = y' と書くことができます。世界で一番高い山であるという特徴を持った、ただ一つのもの x を例に取れば、それは Everest に等しいので、「(世界で一番高い山であるという特徴を持った、ただ一つのもの x ) = Everest」となります。さて、*(3') 行目の式 (iy)( y = x . p ) = x を見てみますと、その式の左辺 (iy)( y = x . p ) が、右辺の x に等しいことを言っています。この左辺は記述句です。ですから左辺の (iy)( y = x . p ) は、ある特徴を持った、ただ一つのもの y ということです。そのある特徴とは、x に等しく、かつ p であるというような特徴です。(iy)( y = x . p ) の中の、'= x . p' の部分が、先ほどからの特徴 F に当たります。*(3') 行目の式 (iy)( y = x . p ) = x を、具体例を使って表してみると、ひどく冗長ですが、(iy)( y = Everest かつ Everest は世界一高い山である ) = Everest などとなります。つづめて言えば、世界一高い山である Everest という特徴を持った、ただ一つのものは、Everest に等しい、ということです。当たり前ですね。ただし、ここでの x や p は、本来は任意です。x は Everest でなければならず、p は 'Everest' という言葉を含んだ文でなければならない、ということはありません。ただここでは、わかりやすさのために、x を Everest とし、p を Everest に関する文にしただけです。F に相当する '= x . p' は、y を特徴付けるものなら、何でも構いません。こうして、*(3') 行目の式 (iy)( y = x . p ) = x は、x に等しく、かつ p という特徴を持った、ただ一つのもの y は、x に等しい、ということを述べています。


*(4')
上の *(3') では 'i' という記号を使っていましたが、この記号を使わずに、通常の論理学の記号を使っても、'i' で表せるのと同じことを表現できます。'(ix)Fx = y' は、F であるような特徴を持った、ただ一つのもの x は、y に等しいということを述べていましたが、このことは、何らかのもの x が特徴 F を持っているならば、それはどれも y と同じものであり、かつ、y と同じであるようなもの x は、どれも特徴 F を持つ、と言い表せます。記号で書くと ∀x( Fx .≡. x = y ) です*7。これは、どの x も、F であれば、すべて y に一致し、かつ y に一致するもの x は何であれ F である、と述べています。世界一高い山の例で言えば、何であれ、何らかのもの x が世界一高い山であれば、それはどれも Everest のことであり、かつ Everest であるような山 x はどれも世界一高い山である、ということです。こうして、(ix)Fx = y とあれば、∀x( Fx .≡. x = y ) と書き換えることができます。以上により、*(3') 行目を書き換えたのが、*(4') 行目です。


*(5')
*(4') 行目の '(y)' は y を普遍量化している普遍量化子ですので、y は任意です。したがって、y に x を取ってもよく、y に x を代入した式が *(5') 行目です。


*(6')
*(5') 行目の右辺 x = x は (1') 行目の公理と同じです。したがって、*(5') 行目の左辺が出ます。この左辺は連言文ですので、各連言肢が成り立っていることを言っていますから、この連言文の右辺 p を引き出してもよく、その結果、*(6') 行目の式になります。


(7')
*(6') 行目の式 p は、*(3') 行目の式 (iy)( y = x . p ) = x を仮定することによって出てきました。したがって、*(3') 行目の仮定を落とし、条件法記号を導入すれば、(7') の式となります。(7') の式は、証明された定理ですので、'*' は (7') の頭に付いていません。


(8')
(7') は定理でした。よって、⊢ A ならば ⊢ □A であることから、(7') に □ を前置してよく、その結果が (8') です。(8') も定理ですから、その頭に '*' は付いていません。


*(9')
p と仮定します。つまり、今、任意のこと p が成り立っていると仮定します。


*(10')
p が成り立っていて、かつ y = x が成り立っているならば、y = x です。さらに、y = x であれば、y = x であり、p は成り立っていると仮定していましたので、p でもあります。よって、*(10') です。


*(11')
*(10') の y は任意です。特定のもののことではありませんので、y を普遍汎化してよく、*(11') となります。詳しく言うと、*(10') の y は、*(10') を導く仮定、すなわち p には現れていないので、y を普遍汎化してよく、しかも *(11') では y を残らず汎化しており、さらに、y を y で汎化しても、*(11') 中で変数の衝突が起こらないので、許されます。なお、仮定 *(9') から出てきた式 *(10') に y があっても問題はありません。それを普遍汎化することは構いません。(ここで述べたのは、普遍汎化則の、いわゆる変数条件のことです。)


*(12')
*(12') は *(11') を書き換えたものです。以前に *(3') から *(4') へと書き換えましたが、それは記号 'i' を含んだ記述句を、この記号を含まない式へと書き換えたのでした。記述句を含んでいるものを、同じことを表す、記述句を含まない式に書き換えた訳です。ここでの *(11') から *(12') への書き換えは、*(3') から *(4') の逆で、記述句を含まない式を、それと同じことを表す記述句を含んだ式に書き換えているだけです。


*(13')
*(12') の式 (iy)( y = x . p ) = x は、この左辺 (iy)( y = x . p ) が、右辺の x に等しいことを言っています。そこで、(2') の式 □( x = x ) の、左側の x に、その x と等しい (iy)( y = x . p ) を代入したものが、*(13') です。


*(14')
*(14') は、□( A ⊃ B ) ⊃ ( □A ⊃ □B ) を公理とすることから出てきます。正確には、A や B に任意の式が入る公理図式とすることから、式 *(14') が出てきます。式の *(14') は、簡略には次のような形をしていて、□( A ⊃ B ) ⊃ ( □A ⊃ □B ), この公理図式の一事例が式の *(14') になっている訳です。□( A ⊃ B ) ⊃ ( □A ⊃ □B ) のような形をした式は、どれも正しく、かつ、式 *(14') はこの形をしているので、*(14') は成り立ちます。以下に □( A ⊃ B ) ⊃ ( □A ⊃ □B ) が正しいとする根拠を記してみましょう*8

さて、A が必然的に成り立ち、かつ A ならば B が必然的に成り立つならば、その時、B も必然的に成り立つように思われます。これは直感的に正しいように感じられます。このことを、次のように表しましょう。


( □A ∧ □( A ⊃ B ) ) ⊃ □B.


この式が正しいとするならば、上記の公理(図式) □( A ⊃ B ) ⊃ ( □A ⊃ □B ) も正しいことを明らかにしてみましょう。まず、先の式 ( □A ∧ □( A ⊃ B ) ) ⊃ □B が成り立つことを、背理法によって示してみます。そのあと、その式から上記の公理(図式) □( A ⊃ B ) ⊃ ( □A ⊃ □B ) が出てくることを明らかにします。

それではまず、背理法を用いて、先の式 ( □A ∧ □( A ⊃ B ) ) ⊃ □B が成り立たないと仮定してみましょう。つまり、この式の前件が成り立つのに、この式の後件が成り立たないとしてみましょう。それは、すなわち


( □A ∧ □( A ⊃ B ) ) ∧ ¬□B


です。この式の左辺の右連言肢 □( A ⊃ B ) を同値変形すると、□( ¬A ∨ B ) となるから、今の式は、


( □A ∧ □( ¬A ∨ B ) ) ∧ ¬□B


となります。この式の左辺の右連言肢 □( ¬A ∨ B ) では、¬A か B のどちらかが、必然的に成り立つと言っています。ところで、今の式 ( □A ∧ □( ¬A ∨ B ) ) ∧ ¬□B の左辺の左連言肢は □A であって、これは A が必然的に成り立つと言っています。一方、その右連言肢 □( ¬A ∨ B ) では ¬A か B のどちらかが、必然的に成り立つと言われていました。とすると、問題の右連言肢 □( ¬A ∨ B ) では、¬A が必然的に成り立つのではなく、B が必然的に成り立つとせねばなりません。したがって、今の式、


( □A ∧ □( ¬A ∨ B ) ) ∧ ¬□B


の左辺は、□A ∧ □B が成り立つと言っていることになります。これが成り立つとき、今の式の右辺も成り立つことになります。すなわちその右辺とは、


¬□B


です。そうすると、□A ∧ □B が成り立ち、かつ ¬□B も成り立つということです。すると連言式 □A ∧ □B はどちらの連言肢も成り立つことを言っているので、その連言肢のうち、□B が成り立ちながら、かつ ¬□B も成り立つということになります。すなわち、


□B ∧ ¬□B.


これは矛盾です。よって、最初の仮定、つまり ( □A ∧ □( A ⊃ B ) ) ⊃ □B が成り立たないとした仮定は、否定されねばならず、よって、


( □A ∧ □( A ⊃ B ) ) ⊃ □B


は成り立つということになります。



そして、今の式は、左辺の連言肢を入れ替えて、次のように書き直すことができます。


( □( A ⊃ B ) ∧ □A ) ⊃ □B.


そしてこの式は、次のように書き換えられます。


( □( A ⊃ B ) ) ⊃ ( □A ⊃ □B ).


その理由は、以下の通りです。

今、式 A, B, C について、A と B を仮定すると、C が出てくるとしましょう。つまり、


( A ∧ B ) ⊃ C.


これは、A を仮定し、B を仮定すると、C が出てくると言っても構いません。このことはまた、A の仮定のもと、B を仮定すると C が出てくると言っても構いません。これはすなわち、


A ⊃ ( B ⊃ C )


のことです。したがって、式


( A ∧ B ) ⊃ C


は、式


A ⊃ ( B ⊃ C )


に書き換えることができます。

実際、形式的には、


( A ∧ B ) ⊃ C .≡. A ⊃ ( B ⊃ C )


が証明できます。簡単ですが、念のため、証明してみましょう。


( A ∧ B ) ⊃ C .→. A ⊃ ( B ⊃ C ) の証明。
A と仮定する。また B と仮定する。すると、A ∧ B. そして ( A ∧ B ) ⊃ C により、C. 仮定 B を落として条件法記号を導入すれば、B ⊃ C. 最後に仮定 A を落として条件法記号を導入すれば、A ⊃ (B ⊃ C ).


( A ∧ B ) ⊃ C .←. A ⊃ ( B ⊃ C ) の証明。
A ∧ B を仮定する。すると A. そこで A ⊃ (B ⊃ C ) により、B ⊃ C. 先の仮定 A ∧ B からは B も出る。そこで B ⊃ C により、C. こうして仮定 A ∧ B を落として条件法記号を導入すれば、( A ∧ B ) ⊃ C.


以上により、式、


( □( A ⊃ B ) ∧ □A ) ⊃ □B


は、( A ∧ B ) ⊃ C という形をしているので、これを A ⊃ ( B ⊃ C ) に変形してもよく、すると、式


( □( A ⊃ B ) ) ⊃ ( □A ⊃ □B )


に書き換えることができます。こうして、最後の式は、成り立つ、正しい、ということになります。よって、最後の式と同じ形をした式 *(14') は成り立つ、ということです。


*(15')
条件法記号を主要結合子に持つ式 *(14') の前件は、(8') に同じですから、*(14') の後件が出ます。そしてこの後件の前件は、*(13') に同じですから、*(14') の後件の後件が出ます。つまり、*(15') です。


(16')
*(15') は *(9') と仮定することから出てきました。したがって、仮定 *(9') を落として条件法記号を導入すれば、(16') です。この式は証明された定理ですので、(16') の先頭には '*' が付いていません。


以上です。改めて、間違ったことを書いておりましたら謝ります。大変すみません。


次回は、上記の Quine's Slingshot Argument のどこに問題があると Føllesdal さんはお考えなのか、どうすればこの論証を block できると Føllesdal さんは考えておられるのか、その点をごく簡単に記してみたいと思っています。記す内容も頭の中で大体できているのですが、例によって結構 meticulous になりそうで、ごちゃごちゃしているから、早く書きとめないと雲散霧消してしまいそうです。散り散りになる前に書きとめることができればよいのだが…。とはいえ、大した内容ではありませんので、まぁ、そうなったらそうなったで構わないかもしれませんが…。

*1:Willard Van Orman Quine, Word and Object, The MIT Press, 1960, §41, pp. 195-200, especially pp. 197-198, Quine, Word and Object, New Edition, The MIT Press, 2013, §41, pp. 178-183, especially p. 181, W. V. O. クワイン、『ことばと対象』、大出晁、宮館恵訳、双書プロブレーマタ 3, 勁草書房1984年、第41節、327-336ページ、特に331-333ページ。なお、以下に記す Quine の Slingshot Argument は、Word and Object における Slingshot Argument を Føllesdal さんが構成し直したものであり、両論証はまったく同じということではありません。

*2:Føllesdal さんによって構成し直されたここでの論証よりも、Word and Object における Slingshot Argument により近い論証の提示と説明は、当日記、2011年8月15日、''Quine's Main Criticisms Directed to Quantified Modal Logic'' の、'(1) Quinean Slingshot' をご覧ください。

*3:Dagfinn Føllesdal, ''Situation Semantics and the ''Slingshot'' Argument,'' in: Erkenntnis, vol. 19, nos. 1-3, 1983, pp. 94-95.

*4:See G. E. Hughes and M. J. Cresswell, An Introduction to Modal Logic, Routledge, University Paperbacks Series, 1989, (first published in 1968), pp. 28-29, 31. G. E. ヒューズ、M. J. クレスウェル、『様相論理入門』、三浦聰、大浜茂生、春藤修二訳、恒星社厚生閣、1981年、27, 29ページ。なお、G. E. Hughes and M. J. Cresswell, A New Introduction to Modal Logic, Routledge, 1996, pp. 25-26 にも該当する記述が見られますが、当方が参考にしたのは1968/1989年版です。

*5:確定記述句は、英語において、いつも必ず定冠詞が付かなければならないということはありません。しかし、哲学で確定記述句が問題になる時には、通常、定冠詞の付いた表現が取り上げられます。W. V. Quine, Methods of Logic, 4th ed., Harvard University Press, 1982, p. 274, W. V. O. クワイン、『論理学の方法』、中村秀吉、大森荘蔵訳、岩波書店、1961年、213-214ページ、クワイン、『論理学の方法』、原書第3版、中村秀吉、大森荘蔵、藤村龍雄訳、岩波書店、1978年、244ページ。

*6:ここでは 'i' を使っていますが、普通は Greek alphabet の iota を逆さまにしたものが使われます。

*7:Quine, Methods of Logic, p. 274, クワイン、『論理学の方法』、214ページ、『論理学の方法』、原書第3版、244-245ページ。

*8:See G. E. Hughes and M. J. Cresswell, An Introduction to Modal Logic, pp. 29, 31. G. E. ヒューズ、M. J. クレスウェル、『様相論理入門』、27, 29ページ。この公理が直観的に正しいものであることを説明する邦訳27ページの訳文は、かなり思い切った意訳になっている部分があります。そのため、邦訳ではいみが取りにくい印象を受けます。和訳があるのは、日本語を母語とする者にとって助かりますが、ここでの説明に対しては、英語原文を参照することをお勧めします。なお、G. E. Hughes and M. J. Cresswell, A New Introduction to Modal Logic, pp. 20-21 にも該当する記述が見られますが、当方が参考にしたのは1968/1989年版です。