ここ最近、購入などして入手した文献を記します。


洋書

  • Rafal Urbaniak  Leśniewski's Systems of Logic and Foundations of Mathematics, Springer, Trends in Logic, vol. 37, 2013
  • Bob Hale  Necessary Beings: An Essay on Ontology, Modality, and the Relations Between Them, Oxford University Press, 2013
  • Jaakko Hintikka  The Principles of Mathematics Revisited, Cambridge University Press, 1996
  • Frederick C. Beiser  Late German Idealism: Trendelenburg and Lotze, Oxford University Press, 2013
  • Andreas Vrahimis  Encounters between Analytic and Continental Philosophy, Palgrave Macmillan, Language, Discourse, Society Series, 2013
  • Emmanuel Lévinas  Ethique et Infini: Dialogues avec Philippe Nemo, Fayard/France culture, Le Livre de Poche, 4018, 1982

Urbaniak 先生の本は、今か今かと出るのを待っていました。入手できてうれしいです。これは全ページに渡って、すっかり読んでしまいたいです。(ただし、今私の心は冷え込んでいるので、読む気力が続くか、非常に心配です。) 手に取ってなかを見ると、とても小気味よくまとまっているようです。目次は次の通り。

Chapter 1: Introduction
Chapter 2. Leśniewski's early philosophical views
Chapter 3. Leśniewski's Protothetic
Chapter 4. Leśniewski's Ontology
Chapter 5. Leśniewski's Mereology
Chapter 6. Leśniewski and definitions
Chapter 7. Sets revisited
Chapter 8. Nominalism and higher-order quantification

大体、うまくまとまっていそうなことが、ここからわかりますね。Intro. で本書のねらいや構成を説明し、Leśniewski の生涯の概略を記しています。6章では Leśniewski 独特の定義に関する見方を提示しているのですが、これは少し前に出た次の論文を本書に組み込んだものです。

  • Rafal Urbaniak and K. Severi Hämäri  ''Busting a Myth about Leśniewski and Definitions,'' in: History and Philosophy of Logic, vol. 33, no. 2, 2012.

この論文の内容については、当日記で紹介しています*1。7章はいわゆる distributive class と collective class の違いの話です。これに関連することも、当日記で記しています*2。8章は Leśniewski の取る唯名論と、彼の独特な量化の話です。本書では Leśniewski 特有の論理記法や Principia 流の dot 記法は使わずに、America でおそらく一般的な Fitch 流の記法などを使い、現代的な論理記法で書かれているので、親しみやすいです。英語も平易で本のページ数も200ページを少し超えるぐらいなので、まったく demanding ではないと思います。以前からあった Leśniewski の入門書、教科書である Luschei 先生の本は、ちょっとごたごたしており、何よりも、みんなが Leśniewski についておそらく最も知りたい彼の三つの体系について、compact に説明されていなかったので、少し不満があったと思いますが、今回の Urbaniak 先生の本はこの三つの体系が、簡潔に説明されており、非常に approach しやすいと感じます。ただ、ちょっと簡潔すぎるかもしれないですね。Leśniewski がまったく初めての人はこれでいいかもしれませんが、ちょっと勉強をしたことのある人は、もしかすると物足りないと感じるかもしれません。(実際私は物足りないと感じます。) あと、各章の最後に付されている Further Readings が非常に詳しくてとても便利で勉強になります。もともと Urbaniak 先生は二次文献にすごく詳しい方でしたが、そこのところが本書でもいかんなく発揮されており、Leśniewski について、自分が興味を持った論点をさらに二次文献で追究していこうとする人にとっては、とても重宝すると思います。まだ私は本文を読んでいませんので断言はできませんが、本書の中で致命的な間違いがいくつも見つからない限り、この本は今後 Leśniewski の教科書としての地位を獲得するのではないでしょうか。まぁ、私は Leśniewski の専門家ではないので、これは個人的な印象にすぎませんが…。いずれにしても、私の感じでは、Leśniewski に興味を持っておられる方は、この本は「買い」です。Leśniewski 自身に興味がなくても、例えば Tarski に興味のある方は、やはり「買い」だと思います。なお、本書の各章の初めの page は、出版社の Springer の home page から無料で誰でも見ることができます。(大学で、この本の電子版を購入されている方は、無料で全文見れると思います。) その各章初めの page では、その章の abstract が掲げられているので、とりあえず、本書の全体を軽くつかんでみたいという方は、これらの abstracts を読まれるとよいかもしれません。(See http://link.springer.com/book/10.1007%2F978-3-319-00482-2.)

Hale 先生の本は、なかを見ると、Frege を主題としているのではありませんが、でももちろん Frege にかかわってくる話をされています。そのあたりが読みたいです。
Hintikka 先生の本は、そのうち購入せねば、と思っていた本です。ようやく購入。
Beiser 先生の本は、Frege をやっている人は、みんな興味を持つと思います。私も購入。
最後の Lévinas 先生の本には、邦訳があります。例えば次です。


和書

最初の Lévinas 先生の本は、以前にその一部をちらほら読んでいた。今回丸ごと購入。
入手後、内田先生の本の初めのあたりを読んでみましたが、どうも自分には合わないように感じられる。Lévinas 先生に面会した際の思い出話などは面白いのですが…。
アリストテレス全集 1  カテゴリー論 命題論』に付いている月報には、

という、飯田先生の思い出話が収録されています。America に留学されていたころに、Aristotle の『自然学』に出会った話がなされています。America での哲学史の勉強・研究と日本での哲学史の勉強・研究との違い、当時の哲学の勉強・研究と現在における哲学の勉強・研究との違いを通して、過去の哲学や異国の哲学を学び、行うということは、どのようなことになるのかを省みておられます。
木田先生の本は以前に全部読んでいた。調べ物をするために購入。
David Armstrong, 『現代普遍論争入門』は、Universals: An Opinionated Introduction, Westview Press, 1989 の翻訳。訳注が充実していて、大変勉強になりそうです。


論文関係

一つ目の岩田先生の論考は、東日本大震災の話です。Lévinas の考えが説かれています。
現代思想』掲載の Heidegger の邦訳はずいぶん前に読んだことがある。ちょっと確認のために入手。


番外

佐々木マキさんのお仕事を紹介する visual な本です。知り合いの女の子が、この本の制作にかかわっていて、それで購入。その子から出来具合を心配する話を聞いていたが、どうしてどうして、すごくいい。全然いい。また会ったら「よかったよ」と伝えておこう。私はもっぱら村上春樹さんの本でマキさんを知ったのですが、マキさんのお仕事の全般が総覧できて楽しめる一冊です。


PS
この他にも購入したい本がいくつかあったが、上記のように、ここ最近購入した文献を一覧にしてみると、結構買っていますね。全部自腹なので、なかなかお金がかかる。そういうわけで、買いたい本でもちょっと購入を控えようかなと感じています。困ったな。(そう言いつつ、今日も洋書を注文などしておりますが…。)

*1:次をご覧ください。2012年1月10日、''Even Professor Patrick Suppes Sometimes Nods.'' および、2012年1月26日、''It Was Ajdukiewicz Who First Formulated the Criteria of Definition.''

*2:次をご覧ください。2013年9月16日、''Why Can't There be any Empty Classes in Leśniewskian Perspective? Why Does Leśniewskian Unit Class Coincide with its only Element?''