洋書
- Kevin Mulligan, Katarzyna Kijania-Placek and Tomasz Placek eds. The History and Philosophy of Polish Logic: Essays in Honour of Jan Woleński, Palgrave Macmillan, History of Analytic Philosophy Series, 2013
この本は出るのを待っておりました。Woleński 先生への献呈論文集と言った感じ。内容は次の通り。有名な先生が多数寄稿しておられます。
Contents
- Kevin Mulligan, Katarzyna Kijania-Placek and Tomasz Placek ''Introduction: The History and Philosophy of Polish Logic: Some Basic Thoughts''
Part I: Logic, Proof and Models
- Alexander S.Karpenko ''Many-Valued Logic in Poland: The Golden Age''
- Gabriel Sandu ''The Dependence and Independence of Quantifiers: Truth, Proof and Choice Functions''
- David Pearce ''Sixty Years of Stable Models''
- Maria van der Schaar ''Wooden Horses and False Friends: On the Logic of Adjectives''
- Joseph Agassi ''Proof, Probability or Plausibility''
Part II: Truth and Concepts
- Jaakko Hintikka ''Truth Defined and Undefined''
- Ilkka Niniluoto ''Against Relative Truth''
- Wolfgang Künne ''Truth without Truths? 'Propositional Attitudes' without Propositions? Meaning without Meanings?''
- Kevin Mulligan ''Formal Concepts''
Part III: Ontology, Mereology and the Philosophy of Mathematics
- Peter Simons ''Arithmetic in Leśniewski's Ontology''
- Arianna Betti ''Leśniewski, Tarski and the Axioms of Mereology''
- Iris Loeb ''From Mereology to Boolean Algebra: The Role of Regular Open Sets in Alfred Tarski's Work''
- Roman Murawski ''The Philosophy of Mathematics and Logic in Cracow Between the Wars''
- A Selection of Jan Woleński's Publications
どれも面白そうですが、個人的に特に気になるのは、Sandu 先生 (Frege は本当のところ、多重量化について、その核心を理解していたとは言えず、Peirce や Hilbert こそが、その核心を理解していたのだ、というのは正しいか), Simons 先生 (Leśniewski の Ontology で、どの程度算術が展開できるのか、あるいはできないのか), Betti 先生 (Tarski は Leśniewski に対して、戦後、何かわだかまりがあったのか、それとももうなかったのか), Loeb 先生 (正確に言って、Mereology と Boolean Algebra は、いかなる関係にあるのか、前者は後者の一種にすぎないと言うのは正しいか) の各論文です。丸カッコ内の文言は、私の関心を表わしているのであって、その文言通りのことを各先生がそれぞれの論文で必ずしも問題にされているというわけではございません。まだそれぞれの論文の冒頭を少し見ただけですので、確かなことは言えませんが、私の関心通りのことが問題となっているわけでは必ずしもないようです。
英語論文
- Ignacio Angelelli ''Abstraction, Looking-Around and Semantics,'' in: Studia Leibnitiana, Sonderheft, Band 8: Die Intensionale Logik bei Leibniz und in der Gegenwart, 1979
和書
出版社の HP から、本書の紹介文を引きます。
サンスクリット語などインドの言葉が原語であった仏典は、中国の文字や言葉に翻訳されて伝わることにより、東アジアの文化的基層となった。鳩摩羅什や玄奘らの翻訳理論とはどのようなものか。中国に無かった概念をどう訳したのか。キケロ以来の欧州の翻訳理論史と並び注目されるべき壮大な知的所産、初めての一般向け概説書。
私は哲学関係の文献をよく入手します。仏教関係はほとんど入手しておりません。なのになぜ本書を購入したのかと言うと、すごく面白そうだったからです。まったく好奇心から購入しました。内容の一部を後日ご紹介したいぐらいです。「そうだったんだ」と感じさせる話題がいろいろと出ているみたいです。「初めての一般向け概説書」だと言われていますが、確かに珍しい気がします。内容も貴重だし、平易に書かれているので、これはぜひ購入しようと思いました。お正月休みの時間がある時に、拾い読みしたいです。しかし休みは休みで、ちゃんとした勉強もせねばならず、拾い読みしている間があるか、わかりませんが…。
やはり出版社の HP から、本書の紹介文を引きます。
世界の注目を集めながら、現実には接触の機会の少ないイスラーム。日本のイスラーム研究発展の経緯を概観したうえで文献や資料の探索、現地語資料の入手など、イスラーム研究の方法を具体的に紹介する。
こちらも好奇心から購入。これもおそらく貴重な内容だと思います。こういう内容は、通常、お金を出しても簡単に得られる情報ではなく、個人個人が勉強を進める過程で、失敗を繰り返しながら獲得して行くものなので、それを1,200円ぐらいで手にできるというのは、非常に安い。私は西洋の哲学を勉強しており、そのため英独仏の文献を入手する分には何とかなりそうな気がしますが*1、Arabic 系統の文献は、皆さんどうされているのか、よくわからなかったので、本書はすごくためになりそうです*2。近頃では OPAC で検索すると Arabic 文献が hit するということもあります。とは言っても、私は Arabic がまったく読めないので、Arabic の文献をこれから入手しようというつもりは全然ないのですが、一応知っておいて損はないと思いますし、もしかしてもしかすると、そのうち Arabic 文献を入手しなければならなくなるかもしれません。本当にそんな時が来るのかどうか、まったく予想できませんが…。ただ、Aristotle の logic の歴史を勉強しようと思えば、今後、Arabic を勉強しておく必要が出てくるだろうと思います。私は the history of Aristotelian logic の専門家ではありませんが、もしもその専門家ならば、今では Arabic を無視してすますということは、良心がとがめることになると思います。