洋書

  • Ferdinand Verhulst  Henri Poincaré: Impatient Genius, Springer, 2012
  • Jeremy Gray  Henri Poincaré: A Scientific Biography, Princeton University Press, 2012

今回入手した上記2点の洋書は、どちらも Poincaré の伝記です。英語で書かれた Poincaré の伝記はたぶん珍しい。最初に掲げた Verhulst 先生のご高著は、英語では初めての Poincaré に関する伝記本であると、出版社の HP には書かれています。確かに、英語での伝記単行本は、今まで出ていなかった気がする。Poincaré と双璧をなす当時の大数学者には Hilbert がいましたが、後者には一応英語の伝記はあったものの、なぜか Poincaré にはなかったと思われます。そんななか、2012年に2点も伝記が出ました。Verhulst 本は写真が結構出てきます。Gray 本は写真はわずかですが、Verhulst 本の倍以上の分厚さです。実は最近、もう1点 Poincaré の伝記が出ました。次がそれです。

  • Jean-Marc Ginoux and Christian Gerini  Henri Poincaré: A Biography Through the Daily Papers, World Scientific, 2013

つい先日、この本が出ているのに気が付き、注文しました。そのついでに、今回確保した Verhulst 本と Gray 本も注文したのです。Ginoux and Gerini 本も近々確保できると思います。Ginoux and Gerini 本は、今回入手の Verhulst 本と Gray 本よりも、Poincaré の人となりに焦点を合わせた本のようです。Ginoux and Gerini 本では、The New York Times, The San Francisco Sunday Call, The Times, The Sun, The Washington Post という America の日刊紙で記事になった Poincaré を調べ、あまり知られていない彼の側面や忘れ去られている姿を再現しようと意図しているみたいです。それにしても、私は別に Poincaré にものすごく興味がある、というわけではなく (Poincaré 先生、すみません)、Ginoux and Gerini 本を珍しく思って注文した際、Verhulst 本が既に出ていることは知っていたので、Poincaré の私的な面を扱った Ginoux and Gerini 本だけでは不十分だから、Verhulst 本も注文し、その時、たまたま Gray 本の存在も知ったので、これも合わせて注文したまでであり、これから本格的に Poincaré の数学の哲学に取り組もうというわけではないのです。だから三つも Poincaré 伝は私には必要ないのですが、それぞれ割と安価であるし、これらのうちの一つだけ持っていてもしようがないので、全部まとめて注文したということです。大数学者とはいえ、立て続けに三つも出るというのは、ちょっと困る。お金が足りなくなるし、そんなに読んでいる時間もないし。いや、Poincaré の好きな人には喜ばしいことかもしれませんが…。しかも Gray 本の Intro., p. 2 には、以下のようにある。

A full biography is underway with a team of scholars at the Archive Henri Poincaré at the University of Lorraine, and their book, due out in 2015, will be very valuable.

というわけで、そのうち definitive edition も出るみたいですね。まいったな。これも購入しなければならなくなるかもしれない。私としては今のところ Poincaré vs. Russell とか、predicativity/impredicativity などに興味があるだけで、Poincaré 全般にまでは気持ちが全然行かないのですが…。


和書

前者の『アインシュタインパラドックス』は量子力学の哲学に関する本。量子力学の哲学に関しては、私はよく知りませんが、読みやすそうだし、一応踏まえておかなければならない話題だろうし、何となく面白そうだったので購入。
長岡先生のご高著は、同名でかつて出ていた放送大学のテキストを、大幅に増補してなったもの。