A Priori Knowledge, Naming and Necessity

  • Albert Casullo  Essays on A Priori Knowledge and Justification, Oxford University Press, 2012/2014

本書は著者の既刊の論文と、以前に行われた講演の原稿などを収めたもの。本書末尾の 'Appendix: Annotated Bibliography' は、A priori knowledge に関する有用な文献表となっているみたいです。文献表内の各文献に手短な comment が付されており、この分野を勉強しようという人間には大変役に立ちそうです。文献表のなかでは各文献を次のような項目ごとに分類して access しやすくなっています。General overviews, Textbooks, Anthologies, Historical background to the contemporary debate, General accounts, Mathematical knowledge, Logical knowledge, Intuitions and conceptual analysis, Modal Knowledge: a. Overviews, b. Primary sources, Testimonial knowledge, Naturalism, Skepticism, New Developements.

  • Nathan U. Salmon  Reference and Essence, 2nd ed., Prometheus Books, Studies in Analytic Philosophy Series, 1981/2005

本書は元々 Princeton UP から1981年に出ていたもので、その筋では著名な本だと思います。1st ed. ではないですが、その 2nd ed. が、いまだに、古書でなく、新刊扱いで入手可能であることを先日知り、早速注文して入手。たぶん本文は改訂されておらず、appendices が5本追加されている点が、初版と違うようです。ただしその appendices のうち、4本は著者の既出の論文を収録したものみたいです。


PS

刊行されたら次の本を購入しようと思っておりましたが、

  • 内山勝利編  『プラトンを学ぶ人のために』、「学ぶ人のために」シリーズ、世界思想社、2014年

現物を手に取ってなかを見てみたら、ちょっと思ったものと違っていましたので、購入を見送らさせていただきました。大変すみません。本書の第IV部「20世紀のプラトン像」、第3章に収録されている次の解説論文に分析系の人間として私は特に興味を持ったのですが、

この解説文は、たしか全部で7ページぐらいの分量であり、余白や文献表を除けば6ページほどしかない文章でした。ひとつの章でありながら、6ページではちょっと少なく感じます。ただし、これは著者の大草先生がわざとそうされたのではなく、おそらく本書の編集方針により、それだけの紙数しか許されていなかったものと思われます。というのも大草先生の前後をはさむ解説論文でも、同様に6~7ページぐらいしか紙数が与えられていませんでしたので…。もしかすると編者の内山先生は、本書全体のページ数をしぼるように要請されていたのかもしれません。Plato で1冊入門書を仕上げる場合、本気になればいくら紙数があっても足りなくなるでしょうが、入門書という位置づけからして、ページ数を薄めにする必要があるでしょうし、また、本の価格も高額では入門者が買ってくれなくなるでしょうから、ページ数をしぼらねばならなかったのかもしれません。
なお、大草先生の解説文では、私も名前ぐらいは聞いたことのある G. Vlastos が、論証の成否に注目、注力する分析的手法を Plato 研究に本格的に導入し(Idea 論の急所である、いわゆる第三の人間論)、それが今では Plato の研究者の当然の style となっている、という話をされておられました。大変勉強になりました。誠にありがとうございました。