精神医学関係

最近入手した文献の名前を記します。途中から精神医学に関係してくる文献をいくつか掲げます。心が疲れている人がいましたら、その疲れに対し、参考になりそうな文献です。よろしければご覧ください。たぶんお役にたてると思います。


和書

三島先生の『ニーチェかく語りき』は、下記の「論文等」の部分に掲げた、先生の短い文章「世界はニーチェをどう読んできたのか」に、ニーチェの文を多数加え、解説を施して成っている本のようです。ですから、先生の今回のご高著『ニーチェかく語りき』の概要を知りたい方は、「世界はニーチェをどう読んできたのか」を読まれるとよいと思います。あるいはこの「世界はニーチェをどう読んできたのか」を読んでみて、関心を持たれたならば、『ニーチェかく語りき』をお買い求めになられるとよいと思います。

エピク テートスの本は、以下の『レジリエンス』において言及されていたので (p. 97, et passim) 買い求めました。


哲学関係以外では、次を購入。

出版社ホームページから、本書の目次を引用させてもらいます。

序 章 レジリエンスとは何か?
第一章 楽観主義であること  現実を見つめ、明るい未来を信じる
第二章 恐怖と向き合う  その生物学的背景と対処法、活用法
第三章 道徳指針をもつ  正義を実践する
第四章 信仰とスピリチュアリティ  罪悪感、赦し、回復
第五章 社会的サポートを求める  相互に依存すること
第六章 ロールモデルを手本に行動する
第七章 トレーニング  健康を保ち身体を鍛える
第八章 脳の健康増進  知力と感情調整力を鍛える
第九章 認知と感情を柔軟にする
第十章 意味、目的を知る  人生の出来事を成長につなげる
終 章 レジリエンスの実践

1〜10章の各章の表題が、経験と研究から得られた、レジリエントであるための条件を示しています。


次に、出版社ホームページの本書内容説明冒頭を引用させてもらいます。

本書の特徴は、トラウマを乗り越えたサバイバーたちの語りを大切にしたうえで、それを裏打ちする疫学的・生物学的な研究成果を十分に紹介していることです。両方のバランスがよくとれているため、専門家・研究者にも読みごたえのある内容であるとともに、一般の読者の方々にも関心をもっていただける内容になっていると思います。[…] 本書には、ベトナム戦争の退役軍人、特殊部隊の教官、重い身体障害や深刻なトラウマを経験した人たちの語りがたくさん紹介されています。

本書は精神医学、心理療法学術書でありながら、戦争で捕虜となり拷問を受けながら生還した人や、レイプにあった人、歩けないながらもスポーツで活躍した人などの体験談がたくさん載っており、私のような素人でも引き込まれるように読んでしまいました。1〜10章の各章では、トラウマのサバイバーの体験談が記されるとともに、これら体験談から得られるレジリエントであるための条件が示され、かつその条件を支持する実験結果なども書き加えられており、理論と実証がバランスよく提示されています。本書は学術書であるため、主張や記述の出典情報が多数載せられています。(本書の原書は Cambridge University Press から出ています。なお本書は学術書であるものの索引がなく、ちょっと残念です。) その主張も慎重になされるものも多く、「(たぶん) 〜だろう」という言い方がよく見受けられます。なぜかくかくしかじかなのか、まだわからないことがある、という感じの記述もよくあります。それに著者たちの主張に反する実験結果も時に示されることがあります。このように、本書は実体験と実験結果を元にしており、かつ事実と推測を分けて慎重に書かれている様子ですので、読んでいて信頼感が持てました。なかなか説得力があるように感じられました。
それ故にか、サバイバーたちの驚異的な精神力と体力に胸が熱くなり、涙さえ込み上げてきたことを、ここに告白しなければなりません。私は最近、精神的に追い込まれ、かなり参っています。人生で数回、精神的な危機を今までに経験したことがありますが、最近経験している精神的な危機は、これまでになく堪えます。本当に助けてもらいたくて、たまたま見かけた本書を買い求め、毎日1章ずつ読みました。ほとんどのページに鉛筆で線を引き、ほとんどのページに付箋を貼って読みました。心に残る文言を、カードに書き出して、カードを貯めました。貯めたカードを名刺サイズのケースに入れ、日々読み返し、心に刻み込んでいます。かなり救われました。今では少し、人生に前向きになっています。(大丈夫です。自殺するとか、そのような気持ちは微塵もありませんので、その点は心配なさらないでください。)
もしも精神的にきつい状況に置かれている方がいらっしゃいましたら、本書をお勧めします。ただし、本書を読めば簡単に自身の危機から脱することができる、というわけではないことを、心に留めておいてください。本書には、すぐさま危機から脱することのできる、手軽な魔法のテクニックが記されているわけではございません。結局、最終的には時間をかけて自力で脱出せねばならないことを、前もってお知らせしておきます。しかし本書を読んで私は勇気づけられました。きっと私と同様、本書を読んで勇気づけられて、前を向くことのできる人が他にもいらっしゃると思います。今、苦しみの中に置かれている方に、改めて本書をお勧めします。

この本は、上記『レジリエンス』で言及されていたので (pp. 285-286) 興味を覚え、購入して読了しました。これも読んでいて胸が熱くなりました。力が湧いてきます。通して読んだだけなので、今度は鉛筆で線を引きながら読み直します。
本書は、アメリカの大学バスケット史上最高のコーチと言われるジョン・ウッデンという方が教えるコーチングの本ですが、バスケットの技術的な話はまったくなく、選手にどのように接してきたのか、どのように彼らを育て優勝へと導き、かつ人生をよいものへとするようアドバイスしてきたのか、そのことが記されています。このように、本書は単なるスポーツの指導書ではなく、きつい状況をいかに生き抜き、自分と自分の人生をよいものとしていけばよいのかが、実地の経験を元にしながら簡潔に示されています。普段、哲学を学んでいる私にも考えさせられる内容となっています。指導者が読んでためになると同時に、指導者でない人にとっても非常にためになると思いました。『レジリエンス』と合わせて読まれるといいと思います。

  • Coach John Wooden with Steve Jamison  Wooden: A Lifetime of Observations and Reflections On and Off the Court, McGraw-Hill, 1997

本書は上記『元祖プロ・コーチが教える育てる技術 新装版』の原書です。この英語版は入手したばかりでまだ読んでいないのですが、中を眺めてみると日本語版は英語版の抄訳みたいです。日本語版にはそのことについて何も書かれていませんが。それにページ内の構成、デザインもかなり異なっている印象を受けます。そのため日本語版は英語版にそのまま従っているのではないようです。ただし、これは日本語版に対する非難ではございません。日本語版のほうが簡潔明瞭になっているみたいですので、かえってそのほうが読みやすいだろうと思いました。とはいえ、一言だけでも抄訳であることを日本語版に表記しておいたほうがよいかとは思いますが…。まぁ、学術書ではないので構わないのですけれど。

出版社ホームページの本書の解説文を引用させていただきます。

うつ病の再発リスクを低くする効果があることから近年注目を浴びるマインドフルネス認知療法。本書では、その理論的背景を明らかにしつつ、8週間のプログラムの中でマインドフルネス瞑想を実践するための具体的な方法を解説、付属CDを聞きながら瞑想法を実践することができる。忙しい生活の中で不安やストレスにうまく対処し、思いやりや気遣いを取り戻すためのマインドフルネス実践ガイド。8つの瞑想法を収録したCD付き。

抑鬱状態の激しい時、頭の中をひっきりなしにネガティブな考えが渦巻いているのですが、この恐ろしいネガティブな考えを真に受けず、「そのままに」しておくことを教えられたのが本書です。ネガティブな考えが湧き上がり、悲観的な未来や自責の念を絶えず自らに言い聞かせてしまうところを、本書では「そのままに」しておくこと、それらの考えについては強く肯定したり、強く否定したりせず、何も判断しないまま、実体のないただのイメージのようなものとして眺め、過ぎ去るように距離を取ることを本書では勧めており、ネガティブな考えに圧倒されてしまっていた自分にとっては救いとなる教えでした。

  • レベッカ・クレーン  『30のキーポイントで学ぶ マインドフルネス認知療法入門 理論と実践』、大野裕監修、家接哲次訳、創元社、2010年

本書は副題に「理論と実践」とありますが、私の見たところ、実践の書であるよりも、理論的側面の強い本です。上記『自分でできるマインドフルネス』のほうが圧倒的に実践の書と見えます。この『自分でできるマインドフルネス』で実践されている事柄のエッセンスを、簡潔にまとめ、チャート化したのが本書『30のキーポイントで学ぶ マインドフルネス認知療法入門』であるように思います。マインドフルネスによる瞑想の方法がどのような考えに基づいているのかを概観するのによい本だと思います。

  • 岡檀  『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由 (わけ) がある』、講談社、2013年

出版社ホームページから、本書の解説文の一部を引用致します。

徳島県南部の太平洋沿いにある小さな町、海部町(かいふちょう)(現海陽町)。
このありふれた田舎町が、全国でも極めて自殺率の低い「自殺“最”希少地域」であるとは、一見しただけではわかりようがない。この町の一体なにが、これほどまでに自殺の発生を抑えているというのだろう。
コミュニティと住民気質に鍵があると直感した著者は、四年間にわたる現地調査とデータ解析、精神医学から「日本むかしばなし」まで多様な領域を駆使しつつ、その謎解きに果敢に取り組む。

鬱にかかわる本を見ていると、この本に出会いました。Non fiction 仕立てで一般向けに書かれており、面白そうだと思って購入しました。少し読み始めたのですが、確かにこれは引き込まれる感じがします。


論文等

  • Toby Meadows  ''Fixed Points for Consequence Relations,'' in: Logique et Analyse, vol. 57, no. 227, 2014
  • 三島憲一  「世界はニーチェをどう読んできたのか」、『ニーチェ入門 悦ばしき哲学』、KAWADE 道の手帖 シリーズ、河出書房新社、2010年


以下の雑誌から、

  • 『数理科学』、特集 数学記号と思考イメージ、no. 643, 2017年1月号

次を入手させていただきました。

  • 加藤文元  「数学記法・記号と数学的思考 概念誕生のイメージ」
  • 平野葉一  「四則演算記号の成立と計算の進化」
  • 林知宏  「ライプニッツと普遍数学」
  • 田中一之  「ロジックの記法と思考」
  • 楠葉隆徳  「インド記数法と数学の発展」

勉強させていただきます。大変ありがとうございました。