目次
はじめに
本日も Arthur Schopenhauer の Selbstdenken (自分で考えるということ) を原文で読みたいと思います。
使用する原文の出典情報、および参考にさせていただく既刊の邦訳、その他の注意事項についてはすべて、以下を読まれる前にまず Part I をご覧ください。
いつも私の話は長くなる傾向があるのですが、今日は短めで済みそうです。
ドイツ語原文
ドイツ語文法事項
今回のドイツ語の文法、構文は平易であり、ドイツ語について中級以上の力を持っている方は、文法事項の説明は不要だと思います。しかし、まったくそれを説明しないというのもなんですので、初歩的なことばかりですが一応説明しておくことにします。冗長になってしまいますがお許しください。
Die Leute: 複数1格。対する動詞は gleichen。
welche: 関係代名詞複数1格。これと枠構造を作る動詞句は zugebracht (haben) と geschöpft haben。
gleichen denen: denen は指示代名詞複数3格。3格 + gleichen で「(3格) に似ている」。
welche aus: welche は関係代名詞複数1格。枠構造を作る動詞句は erworben haben。先行詞は denen。
Diese: 定冠詞類 dieser の名詞化したもの。あるいはその定冠詞類のあとに Leute を省略したもの。
Vieles: 形容詞 viel の中性名詞化したもので、4格。
sie: 今まで述べてきたような人々 Leute を指します。
Hingegen Die: Die は指示代名詞 der の複数1格。Leute の代わり。対する動詞は gleichen。
welche: これも関係代名詞複数1格。枠構造を作る動詞句は zugebracht haben。先行詞は Die。
Solchen: 定冠詞類 solch の名詞化したもので複数3格。ここでの意味は「そのような人々に」。「そのような人々」がどのような人々なのかは、このあとの関係文によって説明されます。
die selbst: die は関係代名詞複数1格。枠構造を作る動詞句は gewesen sind。先行詞は Solchen。
sie allein: sie は Hingegen Die の Die かつ/または Solchen を指します。対する動詞は wissen と kennen および sind の三つ。Wissen は知識として頭で知っていることを、kennen は体験して知っていることを言う場合に使うことが多いようです。
wovon die Rede ist: von 3格 + ist die Rede で「(3格) について語る」。あるいは「(3格) を問題にしている、(3格) が問題である、重要である」などと訳されることもしばしばあります。ここでは単に「(3格) について語る」の意味でよいです。
sind wahrhaft darin zu Hause: in 3格 + zu Hause sein で「(3格) に精通している」。または「(3格) に住みついている、(3格) にある」。zu Hause sein だけなら「(1格) は家にいる、在宅している」をはじめ、「くつろいでいる、〜で生まれる、〜に本拠地がある、〜の出身である」など、多様に訳されます。
意訳
いつものように以下の私訳はまず自力で作成し、そのあと既刊の邦訳を参照して、私が誤訳していないか、確認したものです。おそらく大きな誤訳はしていないように思われましたので、既刊邦訳を参照したものの、それによって修正することもまったくせず、訳を提示することにしました。
この私訳は自然な日本語になることを最優先にしています。そのため原文の中にあるすべての語の意味を訳文に反映させようとは必ずしもしていません。逆に原文に対応する語がない訳語を使っていることもあるかもしれません。それもこれも自然な訳にしようと努めたためです。どうかこの方針をお認めくださいますようよろしくお願い致します。
終わりに
今回は、取り上げたドイツ語の文章が文法や構文の点から言ってかなりやさしいものであったため、既刊邦訳三種と私訳の計四つの訳文はそれほど大きな違いがなかったように思われます。一般的な傾向としては、やはり白水社版は比較的原文寄りに感じられ、光文社版は例によって読みやすく、岩波文庫版は若干意訳寄りか、と思わせるものがあったものの、大差はあまりないように見受けられました。「私訳についてはどうなのか?」とは聞かないでください。大層なものではないので。
今日はこれで終わります。いつものように誤字や脱字、誤解や無理解や勘違い、誤訳、悪訳、拙劣な訳がありましたらお詫び致します。今回のようにやさしいドイツ語文で私が誤訳していたり、文法の説明が間違っていましたら、みっともないことであり、恥ずかしいことですが、それが私の現状の実力です。改善していけるよう今後努力して参ります。何卒お許しください。