目次
はじめに
今回も Arthur Schopenhauer の Selbstdenken (自分で考えるということ) を原文で読みます。
使用する原文の出典情報や参考にさせていただく邦訳、その他の注意事項についてはすべて、Part I に記載されています。以下を読まれる前にまずは Part I でその種のことをご確認ください。
今日は § 263 の残り1/3ほどを読みます。
ドイツ語原文
ドイツ語文法事項
あまりに基本的なことは説明しません。ややこしかったり、注意の必要なことだけを記します。
schon am Vortrage leicht zu erkennen sind: schon は「〜だけで」の意味。「もう〜だけで既に早くも」という意味合いの「〜だけで」です。am の an はいわゆる手がかりの an。「〜を手がかりにして」という意味合い。Vortrag は「講演、人前での話し」と訳しても間違いではないですが、ここではより細かく「話しぶり、話し方」のこと。zu erkennen sind は zu 不定詞 sein 構文 (〜され得る) から成り、「識別され得る」の意味。erkennen は手がかりの an をよく伴って「A erkennen B an C (A は C を手がかりに B だとわかる)」などと使われることがあります。以上からここは「その話し方を聞けば、もうそれだけでたやすくわかる」という感じになります。
Jener am Gepräge ..., am Autoptischen ... : この文は am Gepräge ... と am Autoptischen ... のニつの語句に対し、動詞が省略されています。略されているのは前文中と同様の zu erkennen ist です。二つの am は erkennen に付きものの手がかりの an です。このあとの Dieser の文でも同じ zu erkennen ist が略されていて、daran の an がやはり手がかりの an になっています。また Autoptischen は女性名詞 Autoptisie (死体解剖、検死、実地検分) の形容詞が名詞化したもの。その女性名詞の発音は「アオトプシー」という感じで、s を濁らず、かつ「シー」のところにアクセントがあります。
aus zweiter Hand: 「間接的に、他の人の手を経て」の意味。
sein aus ... bestehender Stil: sein aus ... bestehender は Stil にかかる長い冠飾句。sein aus ... bestehender Stil の全体がここの文の主部です。aus ... bestehen は「... から成る」の意味。
意訳
自然な訳文にすることを第一に考えて訳しています。そのため、原文にない語を訳文で補ったり、原文にある語で、訳出していないものもあります。ただし、原文の大意から逸れないように努めました。
まず、既刊邦訳を見ずに私訳を作り、そのあとで三種類の既刊邦訳を参照し、自分が誤訳していないか確認を取りました。今回はたぶん誤訳はなかったと思います。
終わりに
今回は以上です。誤字、脱字、衍字の類いがあったかもしれず、また誤解、無理解、勘違いもあったでしょうから、ここで謝らなければなりません。誤訳や悪訳の類いにもお詫びしなければなりません。どうかお許しいただければと思います。