Miscellanea
今日もちょっと一服するため、少し前に読んだ本の感想を記します。その本とは次です。 ・ 嘉戸一将 『法の近代 権力と暴力をわかつもの』、岩波新書、岩波書店、2023年。 嘉戸先生のこのご高著は大変重要な話題を扱っておられたので、私はさっそく購入させて…
目次 はじめに アウシュビッツのあとで、神は存在するか? 神は薄情者なのか? 神が望んでおられること おわりに はじめに 先日来、ハイデガー哲学の入門書を読み、それに関連して、ナチ・ドイツの歴史やヒトラーの伝記、それにユダヤ関係の本などを読んでい…
前回と前々回はハイデガーとナチズムの関係を見てみました、その流れの中で興味深い小話を見かけましたので、今回はそれを引用してみましょう。次にその小話が載っています。 ・ 芝健介 『ヒトラー 虚像の独裁者』、岩波新書、岩波書店、2021年、329-330ペー…
目次 はじめに 言葉の解釈について はじめに 先日、何気なく以下の本を購入し、拝読させていただきました。 ・ 轟孝夫 『ハイデガーの哲学 『存在と時間』から後期の思索まで』、講談社現代新書、講談社、2023年。 この本を、全部ではないですが、ほぼ読みま…
目次 はじめに 答え合わせ 第三問に関する先生の見解 第三問解答の整合的解釈 「根本的な問題の察知」について 最後に はじめに 前回は ・広瀬巌 「大学入試って何を試したいの?(上)」、『図書』、岩波書店、2023年5月号、 に載っていたオックスフォード大…
目次 はじめに 問題設定 第一問 爆発を回避せよ 第二問 ダイヤモンドを手に入れよう (第一弾) 第三問 ダイヤモンドを手に入れよう (第二弾) 解答について 第一問解答 第二問解答 第三問解答 おまけ 第四問 爆発を回避せよ (第二弾) 第四問解答 はじめに 先日…
語学の細かくて長い話が続いていますので、ここで息抜きに、小話を一つ。 日本の猫は、一匹につき、一本のしっぽを持っていますが、ドイツの猫は、一匹につき、三本のしっぽを持っていることが証明できます。 あるいは言い換えると、日本の猫は、一匹につき…
目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 直訳 岩波訳 直訳と岩波訳との相違点 フランス語訳 フランス語文法事項 直訳 個人的感想 はじめに 今日も前と同じように Epictetus の Encheiridion (要録/提要) を Carl Hilty の独訳で読みます。例えが面白く…
目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 直訳 岩波訳 直訳と岩波訳との相違点 フランス語訳 フランス語文法事項 直訳 個人的感想 はじめに 今回も前回同様、Epictetus の Encheiridion (要録/提要) を Carl Hilty の独訳で読んでみましょう。私の気に…
目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 直訳 岩波訳 直訳と岩波訳との相違点など フランス語訳 フランス語文法事項 直訳 第一節の内容に対する感想 はじめに ここ数年、私はひどい逆境に置かれています。そのため、書物に心の支えを求めることがある…
目次 はじめに フランス語原文 フランス語文法事項 直訳 河野先生訳 (K) 伊藤先生訳 (I) 南條先生訳 (N) 各訳の主な相違点 総評 はじめに 今回も前回の続きとして、Henri Poincaré の『科学と仮説』邦訳三種類と私による直訳を比較してみようと思います。 以…
目次 はじめに フランス語原文 フランス語文法事項 直訳 河野訳 伊藤訳 南條訳 各訳の主な相違点 総評 附記 発見の文脈と正当化の文脈 はじめに 最近、相次いで Henri Poincaré の『科学と仮説』の邦訳が出版されました。次の二つがそれです。 ・ ポアンカレ…
目次 1. 哲学の議論を、論理学による推論パターンを使って明晰化すること 2. Łukasiewicz ''De la méthode en philosophie'' 抜粋・抄訳 3. 哲学の議論を、論理学による公理的方法を使って明晰化すること 4. まとめ 5. 追記 Łukasiewicz and Modernism お知…
目次 はじめに 問題 「1 は数ではない」 Aristotle Euclid 少しだけ Stevin Moxon Moxonian Pseudo-Paradox 私はこのブログで時事的な話題には、基本的に触れないようにしているのですが、今回は少しだけ最初に触れたいと思います。 現在、新型コロナウイル…
(前回の記事の冒頭で、このブログを書いているパソコンがつぶれそうだと述べました。一応パソコンは今でも生きています。でも危ない状態です。) 目次 総称文 全称文 教訓 追記 先日出たばかりの次の本を、最近拾い読みしています *1 。 ・ 飯田隆 『日本語と…
本日も、いつものように、ささいなことを記します。お読みいただける場合は、そのつもりでお願い致します。 目次 1. はじめに 2. かつ 3. または 4. Tonk 5. Runabout 6. Runabout Ticket 7. Inference-ticket 8. 終わりに 1. はじめに Arthur Prior 先生の…
1週間ほど前に、次の本が出版されました。 ・ ライプニッツ 『モナドロジー 他二篇』、谷川多佳子、岡部英男訳、岩波文庫、岩波書店、2019年。 さっそく購入させていただきました。 モナドロジーと言えば、「モナドには窓がない」ですね。このようなセリフが…
ニュースを一つ。そしてそれに関して、私見を思い付くままに記してみます*1。哲学、論理学の Lvov-Warsaw School に関心をお持ちの日本人は、その数が極めて少ないと思われますが、この学派の哲学について、興味深い文献が本日刊行されました。それは、以下…
本屋さんで、出たばかりの 『数学セミナー』、2018年8月号、 を手に取り、中を見てみると、 田野村忠温 「ダッシュ、プライム」、 という記事を見かける。ちょっと興味を覚えました。拝見させていただくと、「えっ、それは知らなかったな」というようなこと…
うちには小犬の nuhsnuh くんと、そしてたぶん犬だと思うのですが、小犬の Lisa がいます。先日、この2頭が話をしているのが聞こえました。何とはなしに聞いていると、Lisa が「哲学なんて役に立たない」と言っています。それに対し nuhsnuh くんが「そんな…
本日は、ある証明を載せます。あるいは、証明なるものを載せます。以下の話については、半ば真剣に取っていただき、半ば真剣には取らないでください。なお、本日の日記も original な主張は何もございません。それではさっそく本論に入ります。 不可知論は正…
近頃、寝る前に横になりながら、次の本を読んでいます。 トマス・ペイン 『人間の権利』、西川正身訳、岩波文庫、岩波書店、1971年。 これは結構おもしろいです。この本については、昔『人権論』という題名で邦訳されていたとも思われるのですが、そのような…
最近、まったく日記を更新しておりませんでした。特に記すほどのことがなかったのです。今日も特にないのですが、あまり更新しないのもさびしいので、ほんのちょっとしたことを記します。私は論理学の哲学や Frege の論理学について特に勉強しているのですが…
数か月前に次の本が出ました。 内田博文 『治安維持法の教訓 権利運動の制限と憲法改正』、みすず書房、2016年。 購入して拝読したいと思いましたが、最近この日記で記しているように、私はここのところ精神が極度の抑鬱状態にあり、本書を読めば、治安維持…
前回の日記の冒頭でも述べましたとおり、このところずっと嵐に見舞われていて、日記を書くことのできるような心境ではありません。今日はそんな日々でも記すことのできる簡単な事柄を書きます。 先日書店で次の新刊を手に取って眺めていました。 エルンスト…
「平民宰相」という catch phrase から、以前に私はてっきり原敬元首相は、平民の気持ちがわかる、平民の味方だったのだろうと、勝手に感じていたのですが、調べてみると、どうもそうではないらしいことがわかり、一年半ほど前にこの日記で、そのことを報告…
(まず最初に、本日の日記で間違ったことを書いておりましたらすみません。あらかじめお詫び申し上げます。以下では Marxism の話などが出てきますが、私は Marxism に無知であり、その主義を支持しているわけでもなく、それに反対しているわけでもありません…
先日、某古書市で次の本を見かけました。 桂寿一 『懐かしの哲学者』、東京大学出版会、1979年 桂先生の経験されたことを、いくつかつづった小品集です。桂先生と言えば Descartes や Spinoza あたりをされている先生だと記憶しておりました。しかし申し訳な…
先日書店で次の新刊を見かけました。 ケヴィン・パスモア 『ファシズムとは何か』、福井憲彦訳、岩波書店、2016年 出版社による説明文をホームページから引用します。 保守反動か,革新か.資本主義か,反資本主義か──現代史に破滅的影響を与えたファシズム…
定期購読している journal, History and Philosophy of Logic が先週届き、そこに次のようなちょっと変わった論文が掲載されていることに言及しました。 Miriam Franchella ''Brouwer and Nietzsche: Views about Life, Views about Logic,'' in: History an…