Miscellanea

Selbstdenken, Part II.

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 意訳 訳文比較 終わりに はじめに Arthur Schopenhauer の Selbstdenken (自分で考えるということ) を原文で読む続きです。 使用する原文の出典情報や参考にさせていただいた邦訳や、その他の注意事項について…

Selbstdenken, Part I.

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 意訳 感想 終わりに はじめに Kafka の Die Verwandlung (変身) をしばらくのあいだ読んできました。文学作品の読解が続きましたので、哲学方面にちょっと戻りたいと思います。 今日からは Arthur Schopenhauer…

Why Was Schopenhauer Defeated by Hegel? From Some Institutional Points of View

目次 0. はじめに 1. 仮説 2. 仮説の説明 3. 仮説に対する反論 4. まとめ 5. 補遺 教授の自由 6. 終わりに 0. はじめに 大変お待たせ致しました。ここまで語学の話が続きましたので、一回休息を入れ、本日は、西洋哲学史上における、皆さんご存じのエピソー…

Reading Kafka's Die Verwandlung, Part V.

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 逐語訳 既刊邦訳 白水社注釈版 同学社注釈版 新潮版 岩波版 白水社版 光文社版 角川版 終わりに はじめに Franz Kafka の Die Verwandlung (変身) を原文で読む続きです。今日は以下に記す引用文献の20-21ペー…

Reading Kafka's Die Verwandlung, Part IV.

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 逐語訳 既刊邦訳 白水社注釈版 同学社注釈版 新潮版 岩波版 白水社版 光文社版 角川版 終わりに はじめに 前回同様、Franz Kafka の Die Verwandlung の原文を読んでみます。 いわゆる『変身』の原文です。その…

Reading Kafka's Die Verwandlung, Part III.

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 逐語訳 既刊邦訳 白水社注釈版 同学社注釈版 新潮版 岩波版 白水社版 光文社版 角川版 終わりに はじめに 今日も Franz Kafka の Die Verwandlung、いわゆる『変身』を原文で読んでみます。今回は、以下に記す…

Reading Kafka's Die Verwandlung, Part II.

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 逐語訳 既刊邦訳 白水社注釈版 同学社注釈版 新潮版 岩波版 白水社版 光文社版 角川版 追記 終わりに はじめに 前回は Franz Kafka の Die Verwandlung の冒頭、第一段落を原文で読みましたが、今回はその第二…

Reading Kafka's Die Verwandlung, Part I.

[ここ数年、毎年2月の末は、私が昨年一年間に読んだ文献で感銘を受けたものを紹介していましたが、今年はその原稿が用意できておらず、来月以降のいつかに紹介させていただくか、あるいは場合によっては今年はその紹介を取りやめて、パスさせてもらうかもし…

仏和辞典とフランス語文法書

いつもは毎月最終日曜日にここの記事を更新していますが、今日は例外的に最終日曜日までにもう一本、記事を追加しておきます。 さて、私はろくにできもしないのに、ここでドイツ語の文法解説をしているばかりではなく、やはりろくにできもしないフランス語の…

独和辞典とドイツ語文法書

大してドイツ語もできないのに無謀にもドイツ語文法の解説などを私はここでしておりますが、ちゃんと根拠があって解説しているのか、不安を感じていたり、疑念を抱いている方もおられると思います。 そこでこの際、私がどんな文献に基づいて文法の解説をして…

Is Sovereignty Nishida's Absolute Nothingness?

今日もちょっと一服するため、少し前に読んだ本の感想を記します。その本とは次です。 ・ 嘉戸一将 『法の近代 権力と暴力をわかつもの』、岩波新書、岩波書店、2023年。 嘉戸先生のこのご高著は大変重要な話題を扱っておられたので、私はさっそく購入させて…

Can We Believe in God after Auschwitz?

目次 はじめに アウシュビッツのあとで、神は存在するか? 神は薄情者なのか? 神が望んでおられること おわりに はじめに 先日来、ハイデガー哲学の入門書を読み、それに関連して、ナチ・ドイツの歴史やヒトラーの伝記、それにユダヤ関係の本などを読んでい…

An Inconsistent Triad of Characters in Nazism

前回と前々回はハイデガーとナチズムの関係を見てみました、その流れの中で興味深い小話を見かけましたので、今回はそれを引用してみましょう。次にその小話が載っています。 ・ 芝健介 『ヒトラー 虚像の独裁者』、岩波新書、岩波書店、2021年、329-330ペー…

You Can Find a Humpty Dumpty Here Too.

目次 はじめに 言葉の解釈について はじめに 先日、何気なく以下の本を購入し、拝読させていただきました。 ・ 轟孝夫 『ハイデガーの哲学 『存在と時間』から後期の思索まで』、講談社現代新書、講談社、2023年。 この本を、全部ではないですが、ほぼ読みま…

The Rumfitt-Hirose Puzzles: A Reply

目次 はじめに 答え合わせ 第三問に関する先生の見解 第三問解答の整合的解釈 「根本的な問題の察知」について 最後に はじめに 前回は ・広瀬巌 「大学入試って何を試したいの?(上)」、『図書』、岩波書店、2023年5月号、 に載っていたオックスフォード大…

The Rumfitt-Hirose Puzzles

目次 はじめに 問題設定 第一問 爆発を回避せよ 第二問 ダイヤモンドを手に入れよう (第一弾) 第三問 ダイヤモンドを手に入れよう (第二弾) 解答について 第一問解答 第二問解答 第三問解答 おまけ 第四問 爆発を回避せよ (第二弾) 第四問解答 はじめに 先日…

Der Beweis, daß eine Katze drei Schwänze hat.

語学の細かくて長い話が続いていますので、ここで息抜きに、小話を一つ。 日本の猫は、一匹につき、一本のしっぽを持っていますが、ドイツの猫は、一匹につき、三本のしっぽを持っていることが証明できます。 あるいは言い換えると、日本の猫は、一匹につき…

Reading Epictetus' Encheiridion through Hilty's German Translation, Part III

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 直訳 岩波訳 直訳と岩波訳との相違点 フランス語訳 フランス語文法事項 直訳 個人的感想 はじめに 今日も前と同じように Epictetus の Encheiridion (要録/提要) を Carl Hilty の独訳で読みます。例えが面白く…

Reading Epictetus' Encheiridion through Hilty's German Translation, Part II

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 直訳 岩波訳 直訳と岩波訳との相違点 フランス語訳 フランス語文法事項 直訳 個人的感想 はじめに 今回も前回同様、Epictetus の Encheiridion (要録/提要) を Carl Hilty の独訳で読んでみましょう。私の気に…

Reading Epictetus' Encheiridion through Hilty's German Translation

目次 はじめに ドイツ語原文 ドイツ語文法事項 直訳 岩波訳 直訳と岩波訳との相違点など フランス語訳 フランス語文法事項 直訳 第一節の内容に対する感想 はじめに ここ数年、私はひどい逆境に置かれています。そのため、書物に心の支えを求めることがある…

Comparing Japanese Translations of Poincare's Science and Hypothesis, Part II: Poincare on Mathematical Induction

目次 はじめに フランス語原文 フランス語文法事項 直訳 河野先生訳 (K) 伊藤先生訳 (I) 南條先生訳 (N) 各訳の主な相違点 総評 はじめに 今回も前回の続きとして、Henri Poincaré の『科学と仮説』邦訳三種類と私による直訳を比較してみようと思います。 以…

Comparing Japanese Translations of Poincare's Science and Hypothesis

目次 はじめに フランス語原文 フランス語文法事項 直訳 河野訳 伊藤訳 南條訳 各訳の主な相違点 総評 附記 発見の文脈と正当化の文脈 はじめに 最近、相次いで Henri Poincaré の『科学と仮説』の邦訳が出版されました。次の二つがそれです。 ・ ポアンカレ…

Clarification of Dependence Between Philosophical Claims by Axiomatic Methods of Logic

目次 1. 哲学の議論を、論理学による推論パターンを使って明晰化すること 2. Łukasiewicz ''De la méthode en philosophie'' 抜粋・抄訳 3. 哲学の議論を、論理学による公理的方法を使って明晰化すること 4. まとめ 5. 追記 Łukasiewicz and Modernism お知…

Is the Number One a Number?

目次 はじめに 問題 「1 は数ではない」 Aristotle Euclid 少しだけ Stevin Moxon Moxonian Pseudo-Paradox 私はこのブログで時事的な話題には、基本的に触れないようにしているのですが、今回は少しだけ最初に触れたいと思います。 現在、新型コロナウイル…

Generic Sentences are Sometimes Dangerous.

(前回の記事の冒頭で、このブログを書いているパソコンがつぶれそうだと述べました。一応パソコンは今でも生きています。でも危ない状態です。) 目次 総称文 全称文 教訓 追記 先日出たばかりの次の本を、最近拾い読みしています *1 。 ・ 飯田隆 『日本語と…

Where Does the Title of Prior's Famous Paper Come From?

本日も、いつものように、ささいなことを記します。お読みいただける場合は、そのつもりでお願い致します。 目次 1. はじめに 2. かつ 3. または 4. Tonk 5. Runabout 6. Runabout Ticket 7. Inference-ticket 8. 終わりに 1. はじめに Arthur Prior 先生の…

Les Monades n'ont point de fenêtres : japonais/français/allemand/anglais.

1週間ほど前に、次の本が出版されました。 ・ ライプニッツ 『モナドロジー 他二篇』、谷川多佳子、岡部英男訳、岩波文庫、岩波書店、2019年。 さっそく購入させていただきました。 モナドロジーと言えば、「モナドには窓がない」ですね。このようなセリフが…

 Lvov-Warsaw School and Our Philosophies

ニュースを一つ。そしてそれに関して、私見を思い付くままに記してみます*1。哲学、論理学の Lvov-Warsaw School に関心をお持ちの日本人は、その数が極めて少ないと思われますが、この学派の哲学について、興味深い文献が本日刊行されました。それは、以下…

 Dash or Prime, Which Is the Correct Reading of the Mark " ' "?

本屋さんで、出たばかりの 『数学セミナー』、2018年8月号、 を手に取り、中を見てみると、 田野村忠温 「ダッシュ、プライム」、 という記事を見かける。ちょっと興味を覚えました。拝見させていただくと、「えっ、それは知らなかったな」というようなこと…

 Philosophy Is Useful Because We CAN Prove It.

うちには小犬の nuhsnuh くんと、そしてたぶん犬だと思うのですが、小犬の Lisa がいます。先日、この2頭が話をしているのが聞こえました。何とはなしに聞いていると、Lisa が「哲学なんて役に立たない」と言っています。それに対し nuhsnuh くんが「そんな…