Frege 「概念記法の科学的正当化」における概念記法

このFrege論文に興味深い一節が見られる。翻訳から引用してみる(207ページ)。

算術の式言語は、音声の媒介なしに直接事柄を表現しているので、概念記法の一つである。

つまり端的に言えば、算術の式言語は概念記法だ、ということになる。
この後Fregeは次のようにも言っている(208ページ)。

算術の式言語には論理的な結合関係を表す表現が欠けている。そして、それゆえ、算術の式言語は、完全な意味においては概念記法の名に値しない。

つまり端的に言えば、算術の式言語は概念記法ではない、ということになる。

ここでFregeは矛盾しているように見えるが、より彼の意を汲んで解するならば、算術の式言語は、概念記法であるためのある条件を備えているが、しかし概念記法であるための別のある条件を欠いている、ということになるかもしれない。この辺りを詳しく調べ理解するならば概念記法の何たるかがさらによくわかるかもしれない。面白そうだ。