Godel は Skolem の論文を読んで、完全性定理を証明しているのか?

  • Mark van Atten  “On Gödel's awareness of Skolem's Helsinki lecture,” in: History and Philosophy of Logic, Volume 26, Number 4 / November 2005

Godelが彼の完全性定理を証明する前に、実はSkolemの1922年(あるいは1923年)の論文を読んでいたのであり、この論文ではほとんど完全性定理の証明ができてしまっているのであって、そのような論文を読んだ後にGodelは完全性定理を証明しているのだ、と言われることがあります*1。しかしこれはvan Attenさんの調査と、Kreiselさんからvan Attenさんが受け取った手紙によると、間違いだそうです。

    1. GodelがSkolemの上記論文をVienna大学図書館で借りたという話だがその当時の貸し出し記録は残っていないそうです。(あるいは少なくともGodelがそれを借りたという記録は残っていない?)
    2. 完全性定理論文を書くまでにはGodelがSkolemの件の論文を借り出すことができたというはっきりとした証拠はないとのこと。
    3. Godelが件の論文を借り出してしかもGodel自身の筆跡で書き込みまでしているということについて、Godelが書き込みをしていると推測されるのはSkolemの別の論文で、しかもそこに見られる筆跡は、Kreiselさんが見たところ、Godelの筆跡っぽい(seems)というところまでである。「Godelのだ」とまでは断言できないようである。さらにvan Attenさんが探したところでは、そのような書き込みをしているSkolemの論文は見つけられなかったようである*2


以上、夜中に走り読みした限りなので、私が読み間違いをしている可能性が大いにある。はっきりと確認するためにはきちんと読み直す必要がある。間違っていたらすみません。


PS.本日はこの他にも色々と文献を入手。例えばFrege研究の論文など。詳細は後日記すかもしれない。もう遅いので寝ます。おやすみなさい。

*1:例えば竹内外史『新版 ゲーデル』、31ページ以下。および廣瀬健、横田一正『ゲーデルの世界 −完全性定理と不完全性定理−』、6ページ。これらの論拠はKreiselさんの調査によるものとされています。

*2:cf. p. 326, ‘So far, I have not managed to find these shorthand notes.’.