調べもの 2: Wittegenstein の therapy

2.
WittegensteinのTractatusに対して、C. Diamond, J. Conant両氏が展開していると言われるtheraputic readingに関し、このtherapyとは正確に言ってなんだろうと思い、therapyとcounselingの違いについて調べる。
therapyをpsychotherapyのことだとすると、“psychotherapy”は日本語で「精神療法」、または「心理療法」と訳される。すると精神療法・心理療法とカウンセリングの違いは何か、ということになりそうである*1
で、ちょっと調べた限りでは、両者の違いは専門家の多くにとってはっきりしたものではないらしいとわかる。区別をつけている専門かもいれば、つけていない専門家もいる。つけていても大差なく使っている専門家もいる。つけている同士にも違いがある。つまりはっきりしたコンセンサスはとれていない。
何となく感じたことは精神療法・心理療法が精神医学系の由来を持つこと、ヨーロッパ系統を持っている感じがすること、患者になんらかの異常を見出し、その異常を除去することを目指している感じがすること、そのために意識を超えて無意識に働きかけたり、人格の変容を促進したりするようであること。
それに対しカウンセリングは、それを日本で多数派を占めるCarl Rogersのカウンセリングと解すると、心理学・教育学系の由来を持つこと、アメリカ系統を持っていること、患者に異常を見るのではなく、したがって異常な点を除去しようという行為ではないこと、無意識にまで働きかけようとはしないこと、人格の変容までは迫らないこと、そのようなことに感じられる。
こうしてセラピーとカウンセリングの違いがなんとなくわかったら、Tractatusのtheraputic readingとは何であるか、ほんのちょっとだけど何かわかったような気がしないでもない。
ほんのちょっとだけだけど…。

*1:精神療法と心理療法に区別をつける人もいるようである。細かくなりすぎるので、ここでは割愛します。