ちょっと驚いたこと: Professors Stewart Shapiro and James Tappenden

次の文献が出るということは知っていた。

  • Louise M. Antony ed.,  Philosophers without Gods: Meditations on Atheism and the Secular Life, Oxford University Press USA, 2007

無神論について論じられている。宗教哲学に関する本である。何人かの哲学者が寄稿しているようだ。以前に出版予告が出た時にdescriptionをちらっと見たが、誰が寄稿しているかは書いていなかった。
今日この新刊を手にとって見てみた。
それで驚いた。
よく知られた分析系の哲学者の論考がいくつも収められている。
その中にびっくりしたことにStewart ShapiroさんやJames Tappenden(=Jamie Tappenden)さんの名前が見える。
このお二人は数学の哲学の専門家である。この分野のまったくの専門家である。
それが宗教哲学無神論


ぱらぱらとShapiroさんの文を眺めてみる。
冒頭を読むと、Shapiroさんがいかにして神が信じられなくなったかが書かれている。
元々はorthodoxなJewish familyに生まれ育ったShapiroさんだが、ある日車を運転しながらラジオのニュースを聞いていて、とうとう彼の中に残っていた宗教心(religious faith)がぷっつりと消えてなくなってしまったそうである。
それは悲しい話だった。


ある少年がいて、彼は免疫系の不全のため、生まれてこの方、人と触れ合ったことがなかった。
生れてずっと無菌室の中に入れられて、人と接触せずに12年間生きてきた。
そうやって生きてきたけどある時病気になり、お医者さんが初めて無菌室の中に入って治療しなければならなくなった。
この時、彼のお母さんも無菌室に入った。
そして初めて少年とお母さんは互いに抱きしめ合った。
生れて初めて彼は人とphysicalに触れ合ったのだ、しかもお母さんに。
だけど間もなく彼は死んでしまった。
生れて初めて抱き合ったのに、死んでしまったのだ。


この話を聞いた後、Shapiroさんはreligious faithをなくしてしまったという…。


Tappendenさんの文は読んでいない。
ともかくも彼の論文冒頭で「自分は無神論者だ」と語り始める文だけは覚えている。
どうやら自分がどうして無神論者なのかを自己省察した文のようである。