以下の本を手に取ってみる。
- Heinz-Dieter Ebbinghaus Ernst Zermelo: An Approach to His Life and Work, Springer, 2007
割と色々な写真が掲載されている。その中の一枚に眼が行った。初めて見る写真だ。
ZermeloがWarsawを訪れた時に当地の論理学者達と撮った写真である。とてもclearな画像である。
写真では10人ぐらいが写っている。前列の何人かの中にZermeloも座っている。後列の人々は立っている。その中にどこか見覚えのある人が写っている。わずかばかりの思念の後、すぐに名前が出てきた、Lesniewskiだ。そしてその左横の人物は、気が付かなかったが、Lukasiewiczである。後列の左端がLukasiewicz、その右横がLesniewskiである。
Lukasiewiczはじっとカメラ目線でこちらを見ている。「あなたのことを見ていますよ」という無言の語りかけを感じる。彼の顔を見ていると、とても実務に長けた人物に見える。まわりと自分を上手にコントロールするタイプのように感じられる。実業界であっても確実に成功しそうな人物と見受けられる。
一方Lesniewskiはカメラから目線をはずし、ずっと遠くを見ている。彼の写真で有名なのは、左斜め前から撮られたもので*1、黒くのっぺりとした大きな面貌の、どこか鬼気迫る表情をたたえた写真であるが、今回の写真は彼の右斜め前からの表情を捉えている。そして遠方上方にハエが飛んでいるなぁ〜というような顔つきをしていて、変にとぼけた表情をしている。彼の顔を見ていると、あまり実務家タイプには感じられない。まわりに無頓着な、あまりその場の空気を読めない人物という印象を受ける。孤高の天才的芸術家タイプという風である。
この写真を見ていると、お二人にお会いしたことはもちろんないが、何だが実際に会って見て来たような気分になってくる。幾分対照的なお二人の性格がとてもよくにじみ出ているように感じられて、本を開きながら自らの表情が和らいだ。何だかちょっと趣きのある写真だ。
やはりこの本がほしく感じられた。そのうち買うんじゃないかと思う。
*1:後日、気が付いたが、彼の写真で有名なのは右斜め前から撮られたものだと思われる。どこでどう記憶違いをしたのか、最近はPolish Logic, Polish Philosophy関係の勉強から遠ざかってしまっているので、何か勘違いしたらしい。しかし左斜め前からの写真があったのではなかろうか。英訳選集にあったような。ちがったかな。2007年11月25日 記す。