- D. E. Over “Vague Objects and Identity,” in: Analysis, vol. 49, no. 2, 1984
- Stig Alstrup Rasmussen “Vague Identity,” in: Analysis, vol. 95, New Series no. 377, 1986
- Francis Jeffry Pelletier “The Not-So-Strange Modal Logic of Indeterminacy,” in: Logique et Analyse, Nouvelle Série, vol. 27, no. 108, 1984
- David Lewis “Vague Identity: Evans Misunderstood,” in: Analysis, vol. 48, no. 3, 1988
- T. J. Smiley “Frege's ‘Series of Natural Numbers,’” in: Mind, vol. 97, no. 388, 1988
- Peter Apostoli “The Analytic Conception of Truth and the Foundations of Arithmetic,” in: The Journal of Symbolic Logic, vol. 65, no. 1, 2000 (in part)
- 小川隆夫 『証言で綴る ジャズの24の真実』、プリズム・ペーパーバックス no. 1、株式会社プリズム、2008年
さて、
- Gareth Evans “Can There be Vague Objects?,” in: Analysis, vol. 38, no. 4, 1978
においてEvansさんは、vague objects or vague identityという考えが矛盾を含むということを論証するに当たって、その論証を二つの段階に分けている。
一つは
(1) ∇(a=b)
と
(5) 〜(a=b)
とが矛盾していると論証する第一段階目と、もう一つは
(1) ∇(a=b)
と
(5') △〜(a=b)
が矛盾していると論証する第二段階目である。
そしてこの第二段階目の論証を展開するに当たり、S5と同種の/同程度の強さのlogicを想定し、そのようないわゆるvague logic/logic of indeterminacyに訴えることで第二段階目の論証は展開できるとしている。
本日入手の文献のうち、Over論文、Rasmussen論文、Pelletier論文はいずれもこのvague logic/logic of indeterminacyがどのようなものになるか、またはそのようなlogicはEvansさんが思うほどにはうまく行かないことが論じられている。
Over論文は、簡単なものであるが、印象的にEvansさんに対し反例を立てている。
Rasmussen論文は(1)から(5')へと到る第二段階の論証を具体的かつ詳細に再構成してみせてくれており、大変興味深い。
Pelletier論文は件のvague logic/logic of indeterminacyがどのようなmodal logicになるか、technicalに詳論している。そのlogicはS5と独立したlogicとなるそうである。
Lewis論文はEvans擁護論文で、例のreadingsにも入っているが、あえて再度入手。
Smiley論文については
の、139-40ページにかけて書かれている、訳者註 *1 を参照。
Apostoli論文の主張は、Hume's Principleをlogical truthと見なして、そこからNeo-Fregean Logicismを完遂するためには、Etchemendyさんの批判をまぬがれることができるようなlogical truthの説明をもなされねばならないとして、Neo-Fregean Logicismに見合ったlogical truthの説明を与えつつ、件のLogicismの可能性を追究されているようである。但しApostoli論文の初めの数ページのみを参考までに持って帰ってきただけなので、詳細かつ正確な内容は未確認。
Over論文、Rasmussen論文が中でも興味深い。そのうちでも特にRasmussen論文をもう少しじっくり読みたいと思う。
おやすみなさい。