キリコの形而上的な絵と哲学

ミュージアムに行き、キリコの絵を見る。キリコと言えばあの夕暮れ時の寂しげな広場を輪っかを転がしながら走っていく女の子の絵を思い浮かべますが、そのキリコです。いかにもキリコっぽい形而上的な絵の他に、古典的作風の絵もたくさん見られました。色々描いていらっしゃったのですね。しかしやはりキリコと言えば形而上的な広場物が好きです。ずば抜けていい味出しています。
今回初めて知ったのですがキリコの形而上的な絵は哲学と無関係ではないようです。というのもあの手の絵を考え出す頃、どうもキリコは哲学を一生懸命勉強していたようです。中でもニーチェショーペンハウエル、オットー・ヴァイニンガーが好みだったようです。そしてどうやらニーチェ辺りを読んでいる時期に広場物の最初のアイデアを得たみたいです。よくは確認して来ませんでしたが、そんな感じと受け取りました。キリコの絵はよく「形而上的」と形容されるけど実際に哲学と関係があったのですね。またよく考えてみるとウィトゲンシュタインの好みとよく似てますね。ウィトゲンもショーペンハウエルとヴァイニンガーに影響を受けたと、いわゆる邦訳の『反哲学的断章』で明言しているようです(飯田隆ウィトゲンシュタイン −言語の限界』56〜57ページ)。ニーチェに対しては、彼の『アンチ・クリスト』を第一次大戦中に読んで深い印象を受けたことを暗号メモに記しているようです(同上書、34ページ)。ふ〜ん、そうなんだ。