文献情報

仏教専門書店にて以下を見る。

  • 岡崎康浩  『ウッドヨータカラの論理学 : 仏教論理学との相克とその到達点』

インド論理学の専門家でないので内容を詳しく評価することはできないが、実に労作という感じ。このような本を書くのは大変だろうな。かなり専門的なので私には読めない…。残念。インド論理学をやっている人は必読かもしれない。
その代わり同じ店で以下の本を手に取ってみる。

  • 上田昇  『ディグナーガ、論理学とアポーハ論 : 比較論理学的研究』 山喜房佛書林、2001年

これは面白そうだ。こちらなら何とか読める。特に貴重なのは初めの辺りでディグナーガ論理学の研究史を回顧して手際よくまとめていただいているところ。まるで

  • J. Ganeri (ed)  Indian Logic: A Reader

を手短に記しているような印象を受ける。この部分だけでも読んでみたい。が、20,000円もするので申し訳ありませんがcopyして読むことにしよう。


この他、以下の新刊を見る。

  • 姜栄安著、鄭址郁訳  『韓国近代哲学の成立と展開 −近代、理性、主体概念を中心に−』 世界書院
  • トム・メイヤー著、瀬戸岡紘監訳  『アナリティカル・マルキシズム ─平易な解説』 桜井書店
  • 『哲学雑誌』 第120巻、792号、2005年、有斐閣

1本目は若干韓国の科学哲学の歴史について述べられています。中国や韓国で分析系の哲学が以前から行なわれていることは、いくつかの文章から知っていましたが、この本によると韓国での科学哲学は1960年代に導入が試みられ、'70年代に本格化し始め、'80年代にかなり活発化するとの話です。記憶に間違いがなければですが…。初めのころはヘンペルの自然科学の哲学がよく紹介されていたらしい。またちなみに韓国における現象学の始まりについても記述が少しあり、一番最初は1920年代に京城帝大で日本人の手によって導入されたらしい。一体誰なんでしょう? まぁちょっと調べればすぐわかりそうな気がしますが。

2本目はマルクス主義に関する本ですが、いわゆる分析系マルクス主義の紹介、あるいは分析哲学の精神をもってするマルクス主義研究の書。やはりこういうマルクス主義があったんですね。私がマルクスを研究するならこういうふうに研究したいな。きわめて簡単にいえば厳密さを重んじ、権威主義に陥らず、できる限り価値判断を控え、数学を利用してマルクス主義の文献を通じ資本主義を分析する学問という感じでしょうか。大まかな印象なので正確なところはよくこの本を読んでみないといけない。この分析的マルクス主義の走りは2人いて、1人はスラッファ、もう1人は森嶋通夫さんの数学を使ったマル経再構成の研究だそうです。置塩さんの位置づけはどのようになるのかと調べようと思ったのですが、大変残念なことに索引がない。もったいないです。というわけで置塩さんの位置は調べられませんでした。

3本目は久しぶりに興味ある特集が組まれていてとても面白そうです。確か「自然主義反自然主義」とかいう特集名だったかな。またいくつかの論文をcopyさせてもらうことにしよう。