LacanとFrege

最近出たLacanに関する研究論文集を本屋さんで見ていると、変わったことが書いてあった。
Lacanの対象aはFregeの真理値、真・偽のことだそうである。
私はLacan, Fregeともに無知なので、本当かどうか判断できない。
対象aとは何かについて、はてなダイアリーの「対象aとは」というページから、以下に引用させていただきます。

「他人の中に埋め込まれ、私にとって非人間的で疎遠で、鏡に映りそうで映らず、それでいて確実に私の一部で、私が私を人間だと規定するに際して、私が根拠としてそこにしがみついているようなもの、これをラカンの用語で「対象a」と言う。対象aの代表格は、乳房、糞便、声、まなざしの四つ組である。」
新宮一成、『ラカン精神分析』、1995年、講談社現代新書

Wikipediaの項目‘Objet petit a’では以下の通り。

In the psychoanalytic theory of Jacques Lacan, objet petit a (object little-a) stands for the unattainable object of desire. It is sometimes called the object cause of desire.

以上の引用による解説が、正しいものとします。するとその対象aが、文字通り真理値だとすると、私は少々困惑する。恐らくですが、Lacanの対象aは、Fregeの真理値みたいなものだ、ということなのでしょう。Lacanにとって対象aが果たす役割は、Fregeにとって真理値が果たす役割と同じである、とかその種のことを「Lacanの対象aはFregeの真理値、真・偽のことだ」ということで、おっしゃりたいのだろうと思う。でないと本当に私は困惑する。しかしそのように寛大に言い換えたところで、不可解さはさして減少しないのですが…。まぁ、また勉強させていただきます。