入手文献: 現代日本と『精神現象学』受容史

昨日は以下を入手。

これを読んで興味を感じた点を二つ。

    • AsiaにおけるHegel研究は、まず日本で1878年に始まり、続いて1902年に中国・台湾で、そして日本統治時代の1920年に韓国で始まっている。この日記の2005年11月3日に記したが*1、韓国での現象学の受容も日本による導入で始まっていた。なるほど。
    • Hegelの『精神現象学』については、長年に渡る綿密な研究が、とても地味ではあるけれど、一歩一歩進んでいるようである。各節の詳細な註釈はもちろん、各文章単位での註釈を付けようという試みが始まるようである。すごく細かい。思うに、我らがFregeに関しても、今後長い年月をかけて、Begriffsschrift, Grundlagen, Grundgesetzeだけでも、一文一文註解を付けていくという、地味だがぜひとも必要な作業が要求されるであろう。Fregeについて、今時はやりの研究に飛びつくのもいいけれど、『精神現象学』の研究を見ていると、FregeもHegelなみに長期的spanでもって地道な研究をなしていかなければならないと感じた。但しこう言っている私には無理なんですけれど…。

*1:「またちなみに韓国における現象学の始まりについても記述が少しあり、一番最初は1920年代に京城帝大で日本人の手によって導入されたらしい。」