Fregeの再認命題とは何か?

ここのところ、FregeのHume's PrincipleやCaeser Problemを調べている。
そのような中で、正確に言って、Fregeの言う再認命題とは何なのかをはっきりさせておきたいと感じた。
そこでGrundlagenで、‘wiedererkennen’, ‘wiedererkennbar’, ‘Wiedererkennungssatz’, ‘Wiedererkennungsurteil’などの言葉がどこに出てくるのかを、ざっと調べる。
するとどうやら以下のsectionに現われているようだ。Sectionの数と、丸括弧内に邦訳のページ数を上げておく*1


§56(116), 62(121, 122), 66(127), 67(128), 84(147), 106(171), 107(171, 172), 109(174).


これらのsectionのうちで、再認命題とは何かについて、重要な情報を与えてくれるのは取り分け§62と106であると感じられる*2


さて、もう真夜中で時間もないので、詳細を省いて結論だけを以下に記しておく。


例をHume's Principleに取る。次をHume's Principleとする。

    • N(F) = N(G) ⇔ F 〜 G

Hume's Principleで言うならば、再認命題とはこの左辺 (N(F) = N(G)) のことである。
Fregeは「再認判断の内容」と言う時がある*3。その際そのことで言われているのは、Hume's Principleの右辺 (F 〜 G) のことである。
またFregeは左辺を*4「再認する手段」を獲得するとか、与える、ということを言う時があるが*5、その際のその再認する手段とは、右辺のことである。
上記の右辺が左辺の「内容」であり、左辺を確立する「手段」を与えるのが右辺である。
そしてこの右辺がFrege's Criterion of Identityである*6


おやすみなさい。

*1:このことを調べるに際しては、Reclam文庫のRegisterを参考にした。ちなみに邦訳の索引で「再認」、「再認可能」という言葉を引くと、どうやら不備・脱落・混乱の類いが見られるようで、大変残念なことに、これらの言葉を調べるには大変使い勝手がよくない。誠に惜しい。

*2:§107も捨てがたく感じられる。

*3:§106, 107.

*4:あるいは左辺の等号を挟んでいる表現の表わしているもの

*5:§62, 66.

*6:§62, 63, 取り分け62.