飯田先生文献

飯田先生の HP が一新されていて、各種論文が無料で誰にでも DL 可能になっている。そこでそれらをほぼすべて DL させていただきました。以下が、そのようにして入手させてもらった文献です。

飯田隆

  • ''Perceiving Abstract Objects: Inheriting Ohmori Sh\bar{\rm o}z\bar{\rm o}'s Philosophy of Perception,'' in S. Watanabe ed., Logic and Sensiblity, Keio University Press, 2012 *
  • ''Japanese Passives and Quantification in Predicate Position,'' in: Philosophia Osaka, no. 6, 2011
  • ''Russell on Plurality,'' in: CARLS Series of Advanced Study of Logic and Sensibility, vol. 4, 2011
  • ''How Are Language Changes Possible,'' in M. Okada ed., Ontology and Phenomenology: Franco-Japanese Collaborative Lectures, Keio University Press, 2009
  • ''Existence, Identiy and Empty Names,'' in M. Okada ed., Interdisciplinary Logic, vol. 1, Keio University Press, 2008
  • ''Comments on P. Boghossian's Paper 'Blind Rule Following','' A Talk Given at the Tokyo Wittgenstein Workshop Held on June 2, 2007 at Tokyo University, 2007
  • ''Towards a Semantics of Japanese Existential Sentences,'' in M. Okada ed., Essays in the Foundations of Logical and Phenomenological Studies, Keio University Press, Interdisciplinary Conference Series on Reasoning Studies, vol. 3, 2007 *
  • ''Frege and the Idea of Formal Language,'' in: Annals of the Japan Association for Philosophy of Science, vol. 12, no.1, 2003 *
  • ''Professor Quine on Japanese Classifiers,'' in: Annals of the Japan Association for Philosophy of Science, vol. 9, no .3, 1997 *
  • ''Indirect Passives and Relational Nouns,'' Work in Progress, 2011
  • ''Existence, Identiy and Empty Names,'' 2008
  • ''Descriptions in a Language with No Articles,'' Previously Unpublished, 2006
  • 「論理学におけるモダリティ」、2009年原稿、澤田治美編、『モダリティ I 理論と方法』、ひつじ意味論講座 第3巻、ひつじ書房、未刊
  • 「複数論理と日本語意味論」、西日本哲学会編、『哲学の挑戦』、春風社、2012年 *
  • 「哲学から見た言語」、遊佐典昭編、『言語と哲学・心理学』、シリーズ朝倉 言語の可能性 9, 朝倉書店、2010年 *
  • 「量化と受身」、『哲学雑誌』、第795号、2008年 *
  • ゲーデルの完全性定理とタルスキの定理」、『哲学の歴史 別巻 哲学と哲学史』、中央公論新社、2008年 *
  • 「「見る」と「見える」  日本語から哲学へ」、『いま「哲学する」ことへ』、岩波講座 哲学 1, 岩波書店、2008年 *
  • 「論理の言語と言語の論理」、納富信留、岩波敦子編、『精神史における言語の創造力と多様性』、慶応義塾大学出版会、2008年 *
  • ゲーデルと哲学」、田中一之編、『ゲーデルの20世紀』、シリーズ ゲーデルと20世紀の論理学 1, 東京大学出版会、2006年 *
  • 「付論 ゲーデルと第二次大戦前後の日本の哲学」、田中一之編、『ゲーデルの20世紀』、シリーズ ゲーデルと20世紀の論理学 1, 東京大学出版会、2006年 *
  • 「'Begriffsschrift' という名称について」、飯田隆編著、『西洋精神史における言語と言語観 継承と創造』、慶応義塾大学出版会、2006年 *
  • 分析哲学としての哲学/哲学としての分析哲学」、『現代思想』、2004年7月号 *
  • 「文の概念はなぜ必要なのか」、『哲学の探求』、第31号、2004年 *
  • 「記述について」、松田隆美編著、『西洋精神史における言語観の変遷』、慶応義塾大学出版会、2004年 *
  • 「『概念記法』の式言語はどんな言語なのか」、『思想』、岩波書店、2003年10月号 *
  • 「言語の知識」、野本和幸、山田友幸編、『言語哲学を学ぶ人のために』、シリーズ 学ぶ人のために、世界思想社、2002年 *
  • 「言語と存在 存在文の意味論」、中川純男編、『西洋精神史における言語観の諸相』、慶応義塾大学出版会、2002年 *
  • 相対主義的真理観と真理述語の相対化」、『哲学雑誌』、第786号、1999年 *
  • 「哲学と「哲学の言葉」」、『三色旗』、1998年12月号
  • 「言語とメタ言語」、1997年、『現代思想』、1998年1月号 *
  • 「悪霊とマッド・サイエンティスト」、1996年、小林道夫、湯川佳一郎編、『デカルト読本』、法政大学出版局、1998年 *
  • 「綜合的アプリオリから規約へ 論理実証主義とカント哲学」、牧野英二、中島義道、大橋容一郎編、『カント 現代思想としての批判哲学』、情況出版、1994年 *
  • 存在論の方法としての言語分析」、『分析哲学プラグマティズム』、岩波講座 現代思想 7, 岩波書店、1994年 *
  • 「意味と経験」、森俊洋、中畑正志編、『プラトン的探究』、九州大学出版会、1993年 *
  • 不完全性定理はなぜ意外だったのか」、『科学基礎論研究』 、第20巻、1992年 *
  • 「懐疑と意味」、飯田隆、土屋俊編、『ウィトゲンシュタイン以後』、東京大学出版会、1991年 *
  • 「ケベス あるいはAIの臨界」、 『ゲームと計算』、シリーズ 現代哲学の冒険 9, 岩波書店、1991年 *
  • 「偽テアイテトス あるいは知識のパラドックス」、 『現代思想』、12月号、1989年 *
  • 「現代論理学が伝統的論理学よりもすぐれていると考えるのはなぜだろうか」、1989年、藤田晋吾、丹治信春編、『言語・科学・人間』、朝倉書店、1990年 *
  • 「科学の方法」、1986年、沢田允茂、黒田亘編、『哲学への招待』、有斐閣、1988年 *
  • 「哲学者のためのパラダイム論」、『理想』、第628号、1985年 *
  • 「知識論のためのノート (I)」、『文学部論叢』、熊本大学文学会、第14号、1985年
  • 「『知る』は多義的か?」、『哲学雑誌』、第770号、1983年
  • 「共約不可能性・翻訳・論理」、『文学部論叢』、熊本大学文学会、第10号、1983年
  • 「テレポートとテレパシー」、『西日本哲学会年報』、第2号、1994年 (1982年草稿)
  • 相対主義における真理と意味」、『文学部論叢』、熊本大学文学会、第6号、1981年 *
  • 「一貫性と無矛盾性」、『文学部論叢』、熊本大学文学会、第2号、1980年、初出タイトル「連接性と無矛盾性」 *


文献名末尾の '*' は、私が既に読んだことのある論文のこと。そのすべてを持っているはず。ただし、失くしてしまったものもあるかもしれませんが…。なお、今、'*' の印が付いている先生の論文を「既に読んだ」と記しましたが、私にとって、その論文を読んだことと、その論文を理解したこととは、同値ではありません。ですので、読んでいるのに理解できていない論文が、たくさんあります。それに、理解できたことがあったとしても、今ではすっかり忘れてしまっています。大変すみません。今回色々と DL させていただきましたので、また勉強致します。

上記の文献とは別に、一新された先生の HP には載っていませんが、以下の文献は、先生の論文関係のうち、私にはとりわけ興味深く拝見させていただいたものです。

  • フレーゲと分析的存在命題の謎」、『理想』、第639号、1988年
  • 「数学の哲学は哲学に何をもたらしうるか」、『現代思想』、1990年10月号

上記の前者は Hale and Wright さんたちの Neo-Fregeanism にも通じるものがあると思います。たぶん1984年頃に起草された論考だったと思います。そうだとすると、Wright さんの Frege's Conception of Numbers as Objects が出たのは 1983年でしたから、ものすごく早い時期に先生も Hale and Wright さんたちと似たようなことをお考えになられていた可能性があり、とても興味深く思います。ただし、この論考は、先生もその論考中で記されているように、構想段階の考えを取り合えず書き留めたと言えるようなものでしたので、一新された先生の HP には、掲載されていないのかもしれません。けれども、興味深いことは興味深いです。
上記の後者は、数学の哲学の重要性を教えていただいた論考として、よく覚えており、影響も受けました。今も、この論考の延長線上で、哲学をさせていただいていると感じます。この論考は、読んでみた様子から、少し軽めの論考で、論文と言えるほどのものではないかもしれません。そのため、先生の HP では上がっていないのかもしれません。しかし、とても参考になる意見が述べられた論考だと思います。
他にも、先生のお書きになられた論文類で、軽い読み物風のものにも、感化されたことがよくありました。小品ではありますが、面白かったです。それらも net で読めると、皆さん、ありがたく思うかもしれません。

次のセリフは、僭越なことではありますが、私にも実感としてよくわかります。

松永[雄二] […] うまく表現できないけれど、西洋哲学ってのは、やっぱり西洋哲学という哲学なんですよね。そういうものがちゃんと方法としてわからなくちゃいけない。私が幸福だったのは、黒田[亘]君と一緒にやっていたことで、それでもう哲学とはこういうもんだと決まった。君たち[岡部勉、岡部由紀子]の場合、飯田隆君がいたから、そこらへんで哲学ってこういうもんだって決まったようにね。*1

私も飯田先生で、哲学が決まってしまったようなものです。迷惑なことかもしれませんが…。(他には、Frege と Quine で決まってしまったようです。) という訳で、さらに net で読めるようになると、皆助かるかもしれません。とはいえ、net に up するのも、手間は手間でしょうけれど…。

*1:松永雄二、「インタビュー 哲学の難しさ・面白さ」、聞き手 岡部勉、岡部由紀子、西日本哲学会編、『哲学の挑戦』、春風社、2012年、447-448ページ。