先日、次の文献を入手した。
- 小林純 「ヴィーンのオットー・ノイラート 一九二〇年代の実践活動」、『ドイツ経済思想史論集 I』、唯学書房、2012年 (初出1998年).
ところどころ読んでいると、ちょっと面白い記述があったので引用します。別に哲学的な話ではありません。
一九四〇年五月、ドイツ軍が [Netherlands に] 侵入し、道路が封鎖されたなかを、ノイラート*1とマリー*2は港*3から五〇人ほど載せた二五人乗りの救命ボート*4で脱出し、燃料切れ後の漂流中に好運にも英国艦に救出され、ドーヴァーに運ばれた。そこから敵性外国人としてマン島に抑留された。哲学者スーザン・ステビング*5を中心とした知識人たちの救出嘆願の努力 (アインシュタインの書簡もあった) の結果、四一年二月末に解放された。G・D・H・コール*6の援助でオクスフォードに移ったノイラートはマリーと結婚し、二学期間「論理的経験主義と社会科学」の講義を行なった。図像統計の研究も再開して、新たに「アイソタイプ研究所」を設立し、ステビングを所長に迎えた。*7
これは私は知らなかったです。Neurath についてはよく知らないので、この話は知らなかった。救命ボートの the Seaman's Hope を net で調べると、海上保安庁の巡視艇みたいな船が出てくるので、もしかしたらそのような船に乗って Neurath たちは脱出したのかもしれません。Susan Stebbing が登場して、しかも研究所所長になっていたとは知らなかった。Stebbing についてはよく知らないのですが、研究所の所長だったんだ。最近 Stebbing については珍しく彼女に関する monograph が出ましたが、
- Siobhan Chapman Susan Stebbing and the Language of Common Sense, Palgrave Macmillan, History of Analytic Philosophy Series, 2013,
これは私は買っていません。珍しいし買ってもいいかなと思い始めてきました。でもお金がないし、どうしようかな。