Vague Objects and Vague Identity

先日、次のような本が2014年1月末に出ることを知った。

  • Ken Akiba and Ali Abasnezhad eds.  Vague Objects and Vague Identity, Springer, Logic, Epistemology, and the Unity of Science, vol. 33, Due in January 2014

This unique anthology of new, contributed essays offers a range of perspectives on various aspects of ontic vagueness. It seeks to answer core questions pertaining to onticism, the view that vagueness exists in the world itself. […]

Gareth Evans’s influential paper of 1978, ''Can There Be Vague Objects?'' gave a simple but cogent argument against the coherence of ontic vagueness. Onticism was subsequently dismissed by many. However, in recent years, researchers have become aware of the logical gaps in Evans’s argument, and this has triggered a new wave of interest in onticism. Onticism is now widely regarded as at least a coherent view. Reflecting this growing consensus, the present anthology for the first time puts together essays that are focused on onticism and its various facets, and it fills in the lacuna in the literature on vagueness, a much-discussed subject in contemporary philosophy.

私は vagueness や vague objects については勉強していないのですが、興味深い論文集ですね。すごくほしい気がする。ほしいとは思うのですが、たぶん2万円前後するみたいです。本を結構買う私でも、以前からまじめに勉強している話題を扱った本ではないので、衝動買いするには、金額的に言って購入に尻込みしてしまいます。そのようなわけで、秋葉先生にはすみませんが、たぶん買うことは控えさせてもらうと思います。後になって「やっぱり買います…」と言い出すかもしれませんが、今のところ、衝動は抑制されております。先生にはお詫び致します。申し訳ございません。

さて、この刊行予告を見た後、上記引用文中にもある Gareth Evans さんのとても有名な短い論文 ''Can There Be Vague Objects?'' を何気なく読み返してみた。そして、ついでにそれを日本語に訳してみた。さらにそこに見られる Evans さんの証明を、既刊の研究論文の示唆を基にして、すべて細かく書き出してみた。しかもその詳細な証明を二種類、書き出してみた。加えて、わずかばかりですが、Evans 論文読解の際の注意点を記してみた。予定では今回と次回と次々回の三回に分けて、これらのことをこの日記に記録として留めておきたいと思います。

なお、私は vagueness の専門家ではありません。Vagueness の論文を数本読んだだけで、勉強はしておりません。すみません。それに英語ができるというわけでもありませんし、証明をすらすら書き下せるような論理学の知識、能力も持ち合わせていません。ですから、以下に書き付ける内容は間違っているかもしれません。そうでしたら大変申し訳ございません。Vagueness を専門的に研究されている専門家の方々を差し置いて、短くはあるものの、非常に有名な重要論文を、vagueness の専門家でもないのに、しかも英語の力や論理的能力の足りない者が、抄訳ではあれ、訳したりすることにつきましては、とても恐縮致します。一個人の暫定的な試行として、どうかお許しください。もし以下をお読みになられる方がいましたら、それは参考程度にしておいてください。まじめに受け取ってはいけません。あくまで参考にするだけにしてください。''Can There Be Vague Objects?'' は、全文が net 上で誰でも無料で見ることができますので、正しい態度としては、直接その論文をお読みください。Oxford UP による Oxford Journals という page の、この論文が掲載された Analysis という journal の home page で丸々閲覧できます (2013年12月現在。See http://analysis.oxfordjournals.org/content/38/4/208.extract.)。


この後は、項目を改めて論文 ''Can There Be Vague Objects?'' の抄訳を記します。それから次回に、この論文に出てくる論証の詳細を二つ、書き出します。そして次々回に、Evans 論文を読む際に最低限注意する必要のあることを手短に記す予定でいます。