- Hans Sluga “Frege: the early years”, in: Philosophy in History, ed. Q. Skinner et al., Cambridge, Cambridge University Press, 1984
の備忘録を二つ記しておく。
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- 兵どもが夢の跡…
11月21日の日記で、Fregeが入学した頃のJena大学では、かつてFichte, Schelling, Hegelがいた頃の威信が消えていたとの話を書きましたが、その後ほんのちょっとだけ調べてみました。するとどうもFichteたちがいた頃の勢いは、多分だが1806年を境に減退していったものと思われます。というのはこの1806年、Jenaは戦場と化しています。ナポレオンがJenaにやってきてプロシアと戦争状態になったからです。いわゆるイエナの会戦です。この時、街の一部が焼失したようです。この様子をHegelが見ていたという話は有名ですね。恐らくこの時の混乱で大学の勢いが削がれたのかもしれません。
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- Gauss学派
Fregeは数学を勉強しに大学に入りましたが、彼が教えてもらった数学者はGaussの系統に属しているようです。特に少なくともFregeの数学教師のうちの三人はGaussと深い関係があります。Fregeの数学の先生には次の三人がいました。
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- Wilhelm Weber
- Ernst Schering
- Ernst Abbe
WeberはGaussの友人にして同僚です。ScheringはGaussの教え子のようです。AbbeはこれらWeberとScheringの教え子です。またAbbeはBernhard Riemannの教え子でもあり、このRiemannはGaussの教え子です。
つまり、この系統図をいくつかの流れで表すと以下のようになります。
Gauss = Weber → Frege
Gauss → Schering → Frege
Gauss = Weber → Abbe → Frege
Gauss → Schering → Abbe → Frege
Gauss → Riemann → Abbe → Frege
「=」は友人同僚関係、「→」は師弟関係を表します。何だかややこしいですが…。