入手文献: 雅歌

  • History and Philosophy of Logic, vol. 27, no. 4, 2006
  • 旧約聖書 XIII  ルツ記 雅歌 コーヘレト書 哀歌 エステル記』、月本昭男、勝村弘也訳、1998年

今日、今さらながら初めて雅歌を知る。すばらしい。厳しい神が現われる旧約中にこのような愛の歌、恋の歌があるなんて知らなかった。すてきだ。

雅歌、8: 6-7

私をあなたの心臓の上に、印章のようにつけて下さい、
印章のようにあなたの腕に。
愛は、死のように強く、
情熱は、冥府のように苛酷なのです。
その炎は、燃えあがる炎、強烈な炎。
大水も愛を消し去ることはできない。
大河もそれを流し去ることはできない。
もしも誰かが愛を得ようとして
自分の家の全財産を差し出すなら、
きっと軽蔑されるだけでしょう。

この他にもすてきな歌がたくさんある。ゆっくり味わうことにしよう。じっくり味わうことにしよう。


PS.
V. フランクルの『夜と霧』のなかに雅歌が引用されていることを知る。
強制収容所の厳しい労働のなか、会えない自らの妻、生きているのかも死んでいるのかもわからない我が妻、愛する我が妻のことを彼は思う。そして、たとえ生きていようと死んでいようと、極限の状況のなかで、いとしい妻を思う愛情に激しくとらわれた彼は一つの真実をつかむ。愛は死のように強く、それは死を超えるということを。そして雅歌の一節を引用する。

「われを汝の心におきて印(おしで)のごとくせよ・・・其は愛は強くして死のごとくなればなり」
(「雅歌」第八章六節)*1

すばらしい。言うべき言葉はもはやない。

*1:V. フランクル 『夜と霧』、池田香代子訳、みすず書房、2002年、63ページ。