まず論文。

  • William Demopoulos  ''Frege and the Rigorization of Analysis,'' in: Journal of Philosophical Logic, vol. 23, no. 3, 1994
  • 中根美知代  「ε-δ 論法と無限小」、『科学基礎論研究』、28巻、1号、2000年
  • 中根美知代  「ε-δ 論法の形成過程の考察 解析学の基礎の転換の要因」、『数理解析研究所講究録』、京都大学数理解析研究所、1195号、2001年
  • 中根美知代  「19世紀の解析学における「厳密化革命」とは何か」、『科学基礎論研究』、35巻、1号、2007年
  • 中根美知代  「ε-δ 論法による微積分学の形成における Cauchy と Weierstrass の寄与」、『科学史研究』、岩波書店、第II期、第48巻、no. 251, 2009年秋号
  • 野家伸也  「フッセルとフレ-ゲ 現代哲学史への一視角」、『思想』、岩波書店、no. 670, 1980年4月号

野家先生の論文は随分前に読んだ。Copy を持っていたかもしれないが、copy の山の中に埋もれてわからない。この論文の中で、解析学の厳密化や算術化に関する話があったことを覚えていた。それで再入手して該当する第二節「背景としての十九世紀数学」を読み直してみた。読み直して気付いたのは、この第二節は下村寅太郎先生の『無限論の形成と構造』における「5 無限小の数学的形成」の「一 極限」、「二 算術化」に、ほとんど依拠しているとわかる。(論文中でも下村先生のこの本に言及されている。) 野家先生の論文の第二節にしても、下村先生の「5 無限小の数学的形成」を見てみても、ε-δ 論法に関する詳しい話はあまりない。概念史、the history of ideas の話だろうから、一つの perspective (一視角) を得るにはよいが、詳しい実証的な話はあまりない。これがよいか悪いかは、何を目指しているのかに依るだろう。
この他に、journal の Historia Mathematica から、多数論文を入手。


次に図書。

田島先生の本は、先生による共立出版からの『イプシロン・デルタ』を拡大・延長したような文献。そのためε-δ 論法が詳しい。高校数学から大学数学への橋渡しを狙っています。
大矢先生の本は高校生に向けた非ユークリッド幾何学の入門書。わかりやすそう。
池内先生の本は Kant の生涯を紹介する本。先生の興味の赴くままに書かれており、楽しく読めると思います。この本は月刊誌『潮』、2011年1月号-2012年6月号の連載を加筆、修正したものです。気楽に読めそうです。